おもしろい人たちが集結し、これまでになかったホテルをつくろうとしている。
そんな「メズム東京、オートグラフ コレクション」(以下「メズム東京」)のご紹介として、まずは前回リーゼント、ではなくポンパドールヘアの総支配人 生沼久さんを紹介させていただきました。
今回は、おそらく日本のホテルでは一人しかいないのではないか?という27歳のクリエイティブディレクター小泉堅太郎さん、ラグジュアリーホテルの要とも言える料理を担う総料理長の隈元香己さん(クマさん)、そしてJR東日本出身のホテル経験豊富な飯田賢二さんをご紹介します。(レポート:HOTERES 岩本 大輝)
【本編は5回に分けてご紹介をしています】
1.GMはポンパドール。でもそれだけじゃない。
メズム東京、オートグラフ コレクションが「“おもしろいホテル”になりそう」な理由 ①
2.GMだけじゃない! 経験も年齢も幅広いさまざまなプロフェッショナルが集結!
メズム東京、オートグラフ コレクションが「“おもしろいホテル”になりそう」な理由 ②(今回)
3.プロフェッショナルが集まるメズム東京、オートグラフ コレクション、上司はどんなひと?①
副総支配人 オペレーション担当 春名 桂氏 / マスターキュリナリーアーティスト 養父 直人氏
4.プロフェッショナルが集まるメズム東京、オートグラフ コレクション、上司はどんなひと?②
スターサービスセンター マネージャー 内野 恵久氏 / スターサービスセンター アシスタントマネージャー 左居 稚子氏
5.変革を求めて力強く歩みを進める企業で働くことの魅力とは? メズム東京、オートグラフ コレクション
東日本旅客鉄道㈱ 森本 航氏 / 日本ホテル㈱ メズム東京、オートグラフ コレクション 生沼 久氏
生沼総支配人をはじめ「おもしろい人たち」が集まっています
ホテルにクリエイティブ ディレクター?
27歳の青年の仕事とは?
メズム東京には「クリエイティブ ディレクター」なるポジションが存在するそうです。そして、そのポジションを務めるのは27歳。世界でもそのようなポジションを置いているホテルは多分、ほとんどありません。
小泉堅太郎さん、27歳。高校時代、プロサッカー選手を目指してロンドンに留学していた時に、ものづくりに目覚め、大学時代、在学時にデザイナーとして起業。その頃から大手の仕事も受けていたという小泉さんは、生沼総支配人の前職「モクシー東京錦糸町」からの縁もあってメズム東京にやってきたそうです。そして、小泉さんがホテルに魅力を感じた理由は、とても興味深いものでした。
クリエイティブ ディレクターの小泉堅太郎さん
「ホテルには、デザイン、食、ファッション、音楽といったさまざまなものが一つになった集合体だと思います。そのすべてにスポットではなく、ブランディング構築から関われることに、魅力を感じました。」
言われてみれば確かにそうです。ですが、周りを見渡してみると、ホテルにおいてそのすべてに一本の軸が通ったホテルはどれだけあるのだろう…? 小泉さんが言うように、ホテルはさまざまなものが一つになっている。しかしその分、多くのホテルがそれぞれを外注し、任せきりにしてしまった結果そうなってしまっているのかもしれません。しかし逆に、それを自分たちで主体的に関わっていけば、ホテルの細部までホテルの価値観を表現したホテルができるチャンスとも言えます。
ホテルが提供するサービス、食、ユニフォーム、イベント、音楽、花…etc.それらすべての基準をまとめ上げ、ホテルとしてのブランドの軸を創るのが小泉氏の仕事というわけです。そのポジションに、27歳、一般的には若いと言われてしまうような年齢のプロフェッショナルを選んだのは、さすが生沼総支配人です。
「『これまでのホテルとは一線を画しているな』と思えるようなものを創るために僕は呼ばれたのだと思っています。ですので、既成の考え方に合わせる気は正直まったくありません。みんながスーツやジャケットの会社に、僕はTシャツで来ていますし(笑)。もちろんスーツで通勤することは僕にもできますけど、それよりも『あんな奴がいて、こんなものを創って、そこに向かってみんなで頑張っている』という雰囲気づくりの方が大事だと思うんです。
自分が与えられた立場も含めて考えながらですね。生沼さんが『はっちゃける』ことを僕たちに求めていますが、僕は、戦略をもってしてみんなが『はっちゃける』ことができるブランドを築いていきたいと考えています。」
“クマさん”が率いる、
プロフェッショナルシェフチーム
一見かしこまりすぎない、ややカジュアルなスタイルのラグジュアリーホテルが近年増えています。その背景には、以前はラグジュアリーホテルのゲストといえばスーツやドレスを着飾るのが普通だったところに、ジーンズやTシャツを着て、かしこまったサービスを求めない、若いビジネスの成功者などが増えるなど、ラグジュアリーの中でもさまざまな価値観を持つゲストが存在するようになったからです。
しかし、それを、「上辺や形だけのホテル」と「本物」を分けるのは、スタッフのサービスや、“食”です。
その、ホテルの一大要素とも言える“食”を率いるのは、“クマさん”こと、総料理長の隈元香己さん。過去には料理業界のレジェンドである、フランス・パリにおいて日本人シェフとして初のミシュランを獲得した中村勝宏さんの一番弟子としてホテルメトロポリタンエドモンドで中村さんを陰から支えたプロフェッショナルシェフ。
そう聞くと、やや強面のシェフを想像してしまいます。しかし、まさに、“クマさん”と皆が気軽に呼ぶような人柄のクマさんは、まったく違います。物腰柔らかで、やや控えめなので、逆にこちらが気を遣ってしまうほどです。
総料理長の隈元香己さん
「最初にこのチームに加わることとなり、生沼さんと話したときに、『はっちゃけていいです』と言われたのを覚えています。ですが、私自身、はっちゃけ方がまだ足りなくて、『ちょっと待ってください』というスタンスでしたね。これまで本格的なフレンチをやってきた私の経験がありますから、しっかりとしたフレンチレストランをつくるのかなと思っていたのですが、ホテル全体がまったく新しいアプローチをするという話で、今、まさにメンバーと料理を話し合っている段階です。
ただ、新しいアプローチとはいえ、本物の料理を提供していくということには変わりません。ユニークさと、本物、両方を持った食を提供していきたいと考えています。」
料理の世界というのは修行も厳しいものという印象。ところが、クマさんのスタッフの教育に対する考え方は全然違います。
「私たちは技術屋なので、料理人としてのキャリアを積み重ねていく上で最も不安を感じるのは、『仕事が覚えられない』『技術が身につかない』ということです。大きな組織の場合、同じ職場でずっと同じ仕事をやり続けなければならないケースも多々あって、仕事や技術が自分のものにならないと悩みを抱えるひとたちもいますね。ずっとジャガイモの皮むきを続けることも、それはそれで大事な経験なんですけど、今はそういう時代ではないですね。
だからメズム東京のキッチンでは、比較的短いスパンでいろいろなセクションを経験させてあげることで、1人1人のスタッフの仕事や技術、経験に厚みを持たせてあげられる仕組みを考えています。どうやってスタッフのやる気スイッチを押してあげられるか、そこを大切にしていきたいと考えています。」
照れるクマさんを囲むキッチンチーム。こんなユニークな一面も…
JR東日本出身のホスピタリティ旺盛なホテリエ
飯田さん
メズム東京を含む竹芝ウォーターフロント開発計画「WATERS takeshiba(ウォーターズ竹芝)」は、JR東日本グループが開発を進めるプロジェクト。副総支配人を務めるのはJR東日本出身で、ホテル経験もある飯田賢二さんです。
副総支配人を務める飯田賢二さん
またまた飯田さんの経歴もおもしろい。大学では工学部にいた飯田さんですが、通常JR東日本では、工学系出身者はJR東日本の電車の運転手や車掌、工場などに配属される慣例のなか、機械相手でなく人を相手にする仕事をしたいと思い、JR東日本のホテルなどを手掛ける生活サービス事業に関わりたく自ら志願して配属先を交渉した飯田さん。当時は1980年代ですから、そんなことができるのかという時代にそれを貫き、なんとその希望が叶い、JR東日本の様々なホテルで経験を積んできました。飯田さんもまた、生沼さん同様こだわりや熱い思いの詰まったメンバーのようです。
「私の仕事は、生沼さんはじめ外資のカルチャーや、日本ホテルに新しく入ってきてくれた人たちと、JR東日本のカルチャーをうまく融合させることだと考えています。そして、『変革2027』を経営ビジョンとして掲げるJR東日本グループにとって重要なこのプロジェクトを、私たちも変革しながら成功につなげていくことがミッションだと考えています。」
そう、ユニークな取り組みというのは、実はホテルだけではないのです。JR東日本グループとして現在「変革2027」を経営ビジョンに掲げていて、グループ全体で変わろうとしている中での、一つのアイコンと言えるのかもしれません。
JR東日本グループが掲げる「変革2027」は、これまで駅の中の開発を進めてきたこれまでの開発から一転、「ヒトを起点とした新たなサービスの創造」に取り組んでおり、「CITY UP!」をスローガンに、多様な魅力あるまちづくりの実現へと乗り出すことで、駅の周辺の開発に着手いたしました。その中のひとつがメズム東京を含む「ウォーターズ竹芝」の開発なのです。
最近は、ホテルのデザインやコンセプトはおもしろくても、結局それをオペレーションで実現できているホテルはあまり多くありません。その背景には、そのコンセプトを理解する人の能力や個性のなさもありますし、そして実際それを実現するためには相当な手間と時間、辛抱強さも必要で、なかなか簡単ではないからです。
ですが、こうしたユニークな、だけれどもプロフェッショナルたちが集まったメズム東京は、集まったメンバーの顔ぶれと、皆さんの話を聞けば聞くほど、「これはおもしろいホテルができそうだ」と、期待が膨らみます。本編では今後、メズム東京の情報や、今回の二回の中で紹介した4人のメンバーをはじめとしたメズム東京にかかわるさまざまな人たちを連載形式で紹介することで、このホテルの魅力を紹介していきます。(レポート:岩本 大輝)
現在、メズム東京では新しいメンバーを募集しており、
11月13日~12月25日に個別会社説明会『Casual Talk 2019』を開催中です。
興味をお持ちの方は以下リンクよりご覧ください。
【本編は5回に分けてご紹介をしています】
1.GMはポンパドール。でもそれだけじゃない。
メズム東京、オートグラフ コレクションが「“おもしろいホテル”になりそう」な理由 ①
2.GMだけじゃない! 経験も年齢も幅広いさまざまなプロフェッショナルが集結!
メズム東京、オートグラフ コレクションが「“おもしろいホテル”になりそう」な理由 ②(今回)
3.プロフェッショナルが集まるメズム東京、オートグラフ コレクション、上司はどんなひと?①
副総支配人 オペレーション担当 春名 桂氏 / マスターキュリナリーアーティスト 養父 直人氏
4.プロフェッショナルが集まるメズム東京、オートグラフ コレクション、上司はどんなひと?②
スターサービスセンター マネージャー 内野 恵久氏 / スターサービスセンター アシスタントマネージャー 左居 稚子氏
5.変革を求めて力強く歩みを進める企業で働くことの魅力とは? メズム東京、オートグラフ コレクション
東日本旅客鉄道㈱ 森本 航氏 / 日本ホテル㈱ メズム東京、オートグラフ コレクション 生沼 久氏
■ホテル概要
名称:メズム東京 オートグラフ コレクション(mesm Tokyo, Autograph Collection)
運営会社:日本ホテル株式会社
提携先:マリオット・インターナショナル
所在地:東京都港区海岸一丁目10番30号 WATERS takeshiba 高層棟16~26階
オープン日:2020年4月27日
客室数:265室
公式サイト:https://www.mesm.jp/