コンラッド東京のヘッドソムリエ、森覚氏は、ニコラ・フィアットのブリュット・レゼルヴ(ブルーラベル)について、非常にバランスの良いシャンパーニュだという。
「泡がしっかり溶け込み、味わいにも丸みが感じられます。ブルーラベルには、口当たりの柔らかさ、優しさがあります。誰もがおいしいと感じる味わいだといえるでしょう」
色はやや濃く、栓を抜くとすぐにフワッと香りが立ち上ってくる。柑橘系に加え、黄色い果実、そしてリンゴや洋梨の香りが感じられ、華やかさがある。口に含むと、なめらかでスムーズ、さらに果実のふくよかさ、ボリューム感もあり、余韻の苦味もよく溶け込んでいるので、全体的にまろやかな印象を受ける。
「シャンパーニュは、酸がしっかりしており、味わいはタイトなイメージが強いのですが、ブルーラベルは開けた直後でも柔らかく、丸く、しかも一本をそのまま飲むと、時間が経つにしたがって、その印象がより豊かなものに変わっていきます」コンラッド東京の中国料理「チャイナブルー」は、照明のブルーが印象的なインテリアに囲まれ、浜離宮や湾岸エリアの眺望とともにアルバート・ツェ料理長によるクリエイティブで洗練された広東料理を楽しむことができるレストラン。
この「チャイナブルー」のモダンなスタイルの料理とブルーラベルは、とても相性が良いと森氏はいう。
「ブルーラベルの丸みある味わいは、味の幅が広く、変化の大きい構成の料理にオールマイティに対応してくれます」
スパイシーだが、口当たりはまろやかな料理、たたきのように軽く火を入れただけの魚にゴマ油と焦がしネギをかけてカルパッチョのようにして提供する魚料理、ニンニクがきいたメインの豚肉料理。アルバート料理長は、トラディショナルな広東料理を踏まえつつ、さまざまなアジアの要素に加え、フランス料理の最先端の技術や和食の素材も用いて、よりインターナショナルな味わいの料理を作り出しており、ブルーラベルは、その幅の広さを受け止めてくれる。
「提供する温度は低めが良いでしょう。温度を上げると、酸がややぼんやりし、苦味が少し目立ってきます。味わいを引き締めてくれる苦味はよく溶け込んでいますので、冷やしたほうがよりおいしく感じられると思います」
現代の中国料理は、素材の味わいを生かす傾向にある。また、油脂の使用も抑えられているが、料理の味付けには旨味やコクがしっかり感じられる。だから、冷たい状態のほうが良い。そしてバランスの良さは、よく冷やしたほうが引き立つ。
「スタンダードのシャンパーニュでこのクオリティと安定感を保っていること、それがブルーラベルの素晴らしさ、特徴だと思います」