バンケットビジネスの稼ぎ頭のウエディング市場が縮小していることは周知の事実だ。特にウエディング事業に特化した専門式場は平日におけるバンケット活用の活性化を余儀なくされている。専門式場に限らず大中小の複数の会場を持つホテルも閑古鳥が鳴かないために企業の新規開拓が求められている。そこで今回は初期投資ゼロ円、イオンブランドを背景に動き出した㈱イオンイーハートの新規事業を取材した。
㈱イオンイーハート(本社:千葉市美浜区)は6 月11 日より、法人宴会やパーティ需要の掘り起こしを支援する「PARTYAGENT」をスタート。全国のホテルや専門式場などのバンケット活性化に貢献する。
バンケットに着目した背景にはウエディング市場の縮小があった。一世風靡した一軒家スタイルのゲストハウスの勢いも収まり、土日集中型のビジネスモデルが崩壊しつつある。かさむ広告宣伝費とのバランスも乱れつつあり、集客、成約がコントロールできにくい状況となっている。平日の活性化に向けて専門部署を設け、法人に向けた宴会セールスを行なう企業も増えている。しかしながら、踏襲されている定番の法人宴会の場合、なかなか慣習を覆すことができず、例年通りのホテルで契約しているケースが多い。
その一方でウエディング同様、顧客満足を第一とした接客や提案を行なっている施設においては、“ここまでやってくれるなら”と、ホテルから専門式場に切り替えている法人も増えつつある。地域によってはウエディングだけではなく法人宴会まで専門式場のシェアが高まっているところもあるほどだ。
そこで法人宴会の幹事役、会場ともに満足度の高いシステムをイオングループの持つ背景を活用したサービスができるのではと考え、立ち上げることになった。営業サポートは「PARTY AGENT」受託システム開発会社である㈱デジタル・アイ(福岡市早良区)が行なう。
イオングループ各社の店長会議や方針発表などは300 人~ 500 人規模の会場を要し、イオングループ従業員55 万人、イオングループOBも相当数におよび、全国各地で定期的にOB 会を開催している。イオンカード会員は連結4000万人以上、WAON カード累計発行枚数6450 万枚以上を有している。イオングループ以外にもイオンモールに出店しているテナント企業への直接営業を行っていく計画だ。最近はケータリング事業においてイオンブランドの信頼力から官公庁や学校からの発注も増加傾向にある。
会場は地域や開催予定、予算などの項目から検索、該当する施設の情報を得たのち、関心の高い施設に訪問の意思表明を受け、施設側の送客受理を確認後、対象となる施設に送客するという流れだ。当初、送客の告知はコールセンターからのメールやFAX にて行なう(送客管理システム制作中)。法人宴会予約の決定と宴会終了後に契約に基づいたあっせん手数料を請求するという流れだ。
一括契約後、施行希望施設を専用サイト内への無料掲載を行なう。顧客あっせん手数料は2 種類用意している。基本的には下限2 万円以上となる案件を送客する。イオングループのブランド力を生かし、イオンのサイトに掲載されることで施設そのものに対する信用、信頼を得ることができるのも施設側のメリットだ。新サービス開始にあたりキャンペーンを展開しており、レストランの利用チケットや宿泊などのプレゼント協力を求めている。
加えて年間2700 以上のケータリング実績を背景に、発注業務・会場手配業務・ケータリングなどの手配業務の軽減と請求処理の一元化のすべてを請け負うことも可能だ。これまでは会場手配は異なる手配事業者に依頼していた部分もすべて網羅することができるからだ。
「イオングループの信用、信頼を背景に、高額な宣伝費や人件費をかけずとも新たな企業開拓に貢献し、バンケットビジネスの活性化を図ってほしい」(ケータリング本部 ケータリング事業改革マネジャー)。