今回は神奈川県内の3 つの政令指定都市のうち、県内第2 の都市である川崎市をとりあげる。川崎市は東京都と横浜市に挟まれるように位置し、商業の他工業都市としての知名度が高いことで知られている。以下に川崎市と神奈川県東部のマーケットポテンシャルと神奈川県内における観光マーケットを見ていこう。
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毎月第2週号に掲載
- マーケットポテンシャル
川崎市は川崎駅周辺が中心市街地となっており、川崎競馬場・川崎競輪場といった公営ギャンブル施設が位置し、さらに臨海部には京浜工業地帯が展開しているため、男性的なイメージの強い都市となっているが、昨今では同工業地帯において夜景がSNS 映えする人気スポットになっている側面も持っている。それでも男性的イメージは完全には抜けておらず、エリアイメージやステイタスを重視するブライダルビジネスとはまだそぐわない面もあると思われる。しかし、川崎市のマーケットポテンシャルは高いレベルであり、内陸部においては良質なイメージの宅地開発も見られる。東京都と横浜市に挟まれ、マーケット環境としては難しいエリアであるが、都心近郊において開拓余地のあるエリアと思われる。
川崎市の人口は143 万8462 人(2017 年3 月末人口)で、神奈川県内の人口シェア16.0%で、県内第2位の人口規模を有している。これは国内の県庁所在地以外の市町村の中で最も多い。神奈川県東部の主要都市を見ると、隣接している横浜市が364 万9259 人、シェア70.7%で最も多く、この2 市が県内における100万人以上のマーケットを有する都市であり県内マーケットの50%以上の人口規模となっている。次いで藤沢市が42 万3069 人、横須賀市が40万6648 人で、40 万人以上を有している。以降は大和市の22 万9426 人、鎌倉市の17 万5141 人と、続き、逗子市や三浦市は10 万人未満となっている。(図表1)
増加率(17 年/ 12 年)を見ると川崎市は3.6%の増加となっている。これは県内主要都市でも高い増加率である。神奈川県東部主要都市の増加率を見ると藤沢市が2.4%、大和市が1.6%と川崎市に次いで増加している。県内第1 位の都市である横浜市は0.6%の微増となっている。それ以外の都市はマイナス傾向となっており、その中でも三浦市が▲ 6.7%、横須賀市が▲ 3.4%でマイナス幅が大きい。
川崎市の年齢構造を見ると若年人口比率は17.5%、適齢期人口比率は32.5%となり、若年人口比率は全国値(18.0%)をやや下回り、適齢期人口比率は全国値(25.1%)を大きく上回った。(図表2)これは川崎市が工業都市であることや、溝の口や武蔵小杉といったエリアの急成長もあることから高くなっているものと思われる。その他の神奈川県東部主要都市を見ると、若年人口比率は藤沢市が18.6%、大和市が18.0%で全国レベル以上または全国レベルであり、それ以外の都市は全国レベルを下回っている。適齢期人口比率は大和市が28.4%、藤沢市が27.6%、横浜市が27.4%で全国レベルを上回っており、それ以外の都市は全国レベルを下回っている。また高齢者人口比率を見ると適齢期人口が高い都市は全国レベルを大きく下回っていることが分かる。
将来推計人口を見ると川崎市は2030 年ころまでプラストレンドが続き2040 年まででも2010 年ベース上回る人口を有すると推計された。(図表3)神奈川県東部主要都市を見ると、藤沢市も2030 年ころまでは2010 年ベースが維持できると見られている。また横浜市、大和市も2025 年頃まで維持できるとされている。それ以外の都市はすでに減少フェーズに入っており将来的に2010 年ベースの65%~ 85%程度になると思われる。将来的にも横浜市の一極集中には変化はなはないが、川崎市の人口維持力が高いため今後も県内第2 の都市として存在できると思われる。
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