今回は神奈川県の県庁所在地であり、最大の拠点都市である横浜市を取り上げる。横浜市は集客力のある商業施設やレジャー施設、ホテルなどを有しており、国内だけでなく、海外からも人気の観光スポットである。以下に横浜市のマーケットポテンシャルと神奈川県の観光マーケットを見ていこう。なお、今回より一部のデータを更新している。
 
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1. マーケットポテンシャル
　横浜市は18 の行政区を持つ政令指定都市である。人口364 万9259 人（2017 年3 月末人口）で、神奈川県内の人口シェア40.7％と県内で最も多い人口を有している。これは国内の市町村の中で最も多い人口である。その他の県内主要都市を見ると川崎市が143 万8462 人でこの2 市が県内における100万人以上のマーケットを有する都市となっている。次いで相模原市が70 万4467人、藤沢市が42 万3069 人、横須賀市が40 万6648 人で40 万人以上を有している。以降は平塚市の25 万2882人と、30 万人未満の都市が続いている。第2 の都市である川崎市が横浜市の4割弱の人口にとどまることからも、神奈川県内における人口構造は横浜市の一極集中であることが分かる。（図表1）
 
　増加率（17 年／ 12 年）を見ると横浜市は0.6％の微増となっている。その他主要都市では川崎市が3.6％で主要都市内では最も高い増加率となった。次いで藤沢市が2.4％、大和市が1.6％、海老名市が1.6％、茅ケ崎市が1.4％、相模原市が0.5％で増加であり、それ以外の都市は厚木市の横ばい以外はすべてマイナストレンドとなった。（図表2）その中でも横須賀市が▲ 3.4％、小田原市が▲ 2.1％と比較的マイナス幅が大きい。
 
　横浜市の年齢構造を見ると若年人口比率は17.9％、適齢期人口比率は27.4％となり、若年人口比率は全国値（18.0％）をやや下回り、適齢期人口比率は全国値（25.1％）を大きく上回った。その他の県内主要都市を見ると若年人口比率は厚木市が19.1％で最も高く、次いで海老名市が18.9％、藤沢市が18.6％、茅ヶ崎市が18.6％、相模原市が18.3％、秦野市が18.3％、平塚市が18.2％、座間市が18.1％で全国レベルを上回った。適齢期人口比率は工業都市である川崎市が最も高く32.5％となった。次いで厚木市の28.5％、大和市の28.4％、相模原市の28.3％など全国レベルを上回っている都市が多く存在している。神奈川県は主要都市において若年人口比率、適齢期人口比率をともに上回っている都市が多く、また高齢者人口比率も全国レベルを下回っている都市が多いことから、県内全体において若いマーケットが活性化していると言えるだろう。
 
　将来推計人口を見ると横浜市はすでに2015 年頃をピークに減少フェーズに突入すると推計されている。（図表3）2025 年ころまでは2010 年ベースを維持し、2040 年頃には2010 年ベースから約6％程度減少すると見られている。その他の県内主要都市を見ると川崎市は2030 年頃までプラストレンドが続き2040年まででも2010 年ベース上回る人口を有するとされた。藤沢市も2030 年頃までは2010 年ベースが維持できると推計された。また大和市、海老名市は2025年頃、相模原市、茅ヶ崎市は2020 年頃まで2010 年ベースを維持できるとされている。すでに減少フェーズに入っている都市は将来的に2010 年ベースの75％～ 85％程度になると思われる。将来的にも横浜市の一極集中には変化はなく、今後も神奈川県内で最も高い人口ポテンシャルが期待できる。
 
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