今回取り上げるのは鹿児島県の県庁所在地である鹿児島市。鹿児島湾内には同市のシンボルである桜島を有し、全国区の観光地としても有名である。また一大商業エリアである天文館が位置するほか、企業支社が集積していることもあり、南九州地域の中核を担う拠点都市となっている。以下に鹿児島市のマーケットを見ていこう。
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毎月第2週号に掲載
1.マーケットポテンシャル
鹿児島市は人口60 万7499 人(2013年3 月末)を擁する鹿児島県の県庁所在地である。鹿児島県内人口の35.7%のシェアとなり、県内の人口構造は鹿児島市への人口集中傾向が顕著と言える。鹿児島市以外の県内主要都市を見ると、霧島市が12 万7537 人で続いており県内第2 の都市、鹿屋市が10 万4570 人で第3 の都市となっているが、鹿児島市との人口格差は5 倍近く開いている。その他の都市では薩摩川内市が9 万9232 人、姶良市が7 万5591 人、出水市が5 万5745 人、日置市が5 万674 人と続き、鹿児島市、霧島市、鹿屋市以外で人口10 万人を超える拠点都市は存在しない。
過去5 年間の人口増加率(13 年/08 年)を見ると、鹿児島市は1.0%と微増となった。県内主要都市では姶良市が0.7%で鹿児島市と並んで増加となり、それ以外の都市はすべてマイナストレンドである。その中でも南さつま市が▲ 7.7%、南九州市が▲ 7.1%、曽於市が▲ 6.4%となっており、鹿児島市よりも南部の都市は比較的減少幅が大きくなっている。
鹿児島市の年齢構造をみると、若年人口比率は19.6%、適齢期人口比率は25.2%であり、共に全国レベルを上回った。その他の県内主要都市では霧島市の若年人口比率が20.8%、鹿屋市が20.2%、奄美市が20.0%、出水市が19.9%、薩摩川内市が19.3%など全国レベルを上回る都市が多く見られる。地方都市において若年人口は県庁所在地に集中し他都市は低い比率になることが多いが、鹿児島県においてはこのように広域に若いマーケットが形成されている。その一方で、県南部では県内主要都市以外は高齢者比率(65歳以上人口比率)が30%を超える都市が多く、高齢化が進展していることが憂慮される。
適齢期人口比率は鹿児島市以外すべての県内主要都市が全国レベルを下回っている。人口減少率の高い県南部の都市は特に適齢期人口比率が低い。鹿児島市以外の若年人口を有する都市でも全国レベルを下回っており、適齢期になると鹿児島市をはじめ他地域へ流出していると考えられる。
将来推計人口を見ると、鹿児島市は今後減少フェーズに入るとされ、2030年ころには2010 年人口の92.6%になると推計された。その他県内主要都市でも減少フェーズに入っている。最も人口規模を維持できるのは霧島市であり、その他鹿児島市、姶良市、鹿屋市は比較的減少幅が緩やかである。それ以外の都市は減少幅が大きく将来的に2010 年人口の30%~ 40%の減少となる可能性がある。主要都市の人口バランスは今後も変わらず、鹿児島市の一極集中傾向は持続すると推測される。
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