2017年6月7日、金沢市とオリックス㈱、日本ハイアットは記者会見を開き、金沢市が進めるJR金沢駅金沢港口(西口)の駅前プロジェクトにおいて、オリックスがデベロッパーとなり、ハイアットのライフスタイルブランド「ハイアット セントリック」と長期滞在型ホテルブランドで日本初上陸となる「ハイアット ハウス」の2つのホテルを、2020年6月(予定)に同時開業することを公表した。
左側がハイアット セントリック 金沢、右側の低層階にハイアット ハウス 金沢が、高層階にはDAIKYOの高級レジデンスが入る
海外では一つもしくは隣接するビル内において同グループの異なるブランドを備えるホテルを「デュアルブランドホテル」と呼ぶが、インターナショナルホテルチェーンにおいてこのデュアルブランドホテルが開業するのは日本で初となる。また、ハイアットブランドのホテルが北陸地方に開業をするのも今回が初めて。
2016年7月8日に金沢市が同プロジェクトの優先交渉権者にオリックスを代表とする企業グループを選んだと公表した時点では、ホテルは「ハイアット セントリック」、長期滞在型ホテルにおいては「オークウッド」と公表をされていたが、「サービスのクオリティやオペレーションを考えたとき、ダブルブランドで同じオペレーターの方に運営をしていただいた方がクオリティの高いサービスを提供できるのではないかと考えた。そのため、われわれがハイアットさんを口説いて進出をしていただいた」(オリックス㈱ 執行役 不動産事業本部長 深谷 敏成氏)ために変更となったという。
「ハイアット セントリック」というブランドには「街の中心」、「情報の中心」という二つの意味が込められており、2015年1月に誕生したハイアットのライフスタイルブランドにおける新ブランド。その基本理念は “その街の最もエキサイティングな魅力発信源” であり、ハイアットは「ハイアット セントリック 金沢」を通じて金沢と世界、地元の人々と旅行者をつなぐ拠点として、金沢の新しい魅力を発信していきたいとしている。
また、「ハイアット ハウス」は長期滞在型のセレクトサービスブランドで、今回の出店が日本で初となる。自宅のような寛ぎとホテルならではの快適さを融合し、“街に暮らすように過ごす旅” をコンセプトとし、居住性を重視した広い客室(平均40 ㎡台)内に、電化製品が揃うミニキッチンやダイニングテーブル、落ち着いて寛げるソファやランドリーなど、快適な滞在に必要なものを取り揃えている。
そのため「ハイアット ハウス 金沢」では食材豊かな金沢において新鮮な地産食材を市場で購入し、自宅のような空間で自由に調理・食して楽しむといった使い方も可能となる。
プロジェクトにおいて長期滞在型のホテルブランドを提案した背景について、オリックスの深谷氏は、
「金沢の平均的な滞在ニーズは2日というデータもあるが、それは一方で長期滞在のニーズに対応できる施設がなかったためであるとも考えられる。伝統や文化が豊かな金沢の素晴らしさを感じていただくには1泊2泊でなく、長く滞在していただくというバリエーションも必要であり、そこにニーズがあるのではないかと考えた。そういった新しい層のニーズに応える施設があることで、これまで金沢に来なかった層に来ていただくきっかけになるのではと考えた」
としている。
また、本記者会見において金沢市長の山野之義市長は、
「金沢市は前だけの時代から本物にこだわったまちづくりを大切に守り続けていた街であり、金沢の伝統や文化を積極的に発信し、発信することで逆に人々がやってくる、つまり吸引できるということをこれまでもやってきたし、これからもそれを継続していきたいと考えている。
今回のプロジェクトにはありがたいことに多くの方に興味をもっていただいたが、その中で、オリックスさんから良い提案をいただけた。ハイアットのネットワークによって世界中の富裕層の方に来ていただきたいし、同時にハイアットのネットワークによって世界中に金沢を発信していきたい。
長期滞在型の提案をいただいたときも、深谷氏がお話をされたようにこれまで金沢に来ていなかった層に来てほしいと思い、お願いをした。
『世界の交流自然都市』を目指し、これまで先輩たちが本物にこだわってきたように、本物の人に来ていただける都市にしたい」
と力強く語った。
なお、本プロジェクトにおけるオリックス㈱とハイアット インターナショナル アジアパシフィック リミテッドとの契約形態はマネジメントコントラクト。目標稼働率は80%以上、ADRは「ハイアット セントリック 金沢」が3万円以上、「ハイアット ハウス 金沢」が2万5000円以上としている。
左からオリックス㈱ 執行役 不動産事業本部長 深谷 敏成氏、金沢市長 山野 之義氏、日本ハイアット 代表取締役 阿部 秀博氏