㈱トータル・エンゲージメント・グループは、このほど、ホテル宿泊業におけるNPS(R)(Net Promoter Score)、つまり顧客推奨意向の調査結果を公表した。この調査により、NPS(R)における「推奨者」と分類される層が約96.7%にリピート宿泊意向があるとしている。
【NPS(R)とは】
友人・知人に対してサービスや商品を推奨する可能性があるかどうかを数値化したもの。この数値は、企業の将来の収益性と相関関係があることが証明されており、世界5000社以上の企業で経営指標として利用され始めている。
このNPS(R)の計測指標は、極めてシンプルで、「○○を友人や同僚にすすめる可能性は?」という質問に対して0~10点のスコアをつけてもらい、理由を自由回答してもらうだけ。10点9点をつけた人を推奨者、8点7点をつけた人を中立者、6点以下をつけた人を批判者とし、推奨者の率から批判者の率を引いた数字がNPS(R)となる。
【調査のトピックとデータ】
1)「推奨者」の約57.4%が再宿泊意向の設問に対し、「とても宿泊したい」と回答。「宿泊したい」という回答を加えると約96.7%の「推奨者」が再宿泊意向を持っている。
2) 「推奨者」の73%がスタッフサービス・気遣いに対して高評価をしています。「推奨者」を創り出す要素はいくつかあるが、スタッフによるサービス・気遣いも「推奨者」を産みだす重要なポイント。
3)その宿泊施設を「他人に薦めた」ことがある「推奨者」は約61%にのぼり、実際に、薦められた方で「宿泊した」「今後宿泊する予定」と回答した方が、約62.5%。
同調査では、宿泊場所のタイプを「ラグジュアリーホテル」「BBBホテル(※)」「ビジネスホテル」の3タイプで定義した(※「BBBホテル」とは、大浴場付やビュッフェ形式の朝食、キングサイズのベッドなど従来の「ビジネスホテル」よりサービス面が充実した低価格ホテルを指す造語)。その3タイプごとのNPS®のデータは別表の通り。
NPS®の数値は、推奨者の割合から批判者の割合を引いた数字。上図の左側は、回答者の中で「推奨者」「中立者」「批判者」の占める割合であり、「推奨者の割合」-「批判者の割合」が右側にある数値となる。
結果からは「ラグジュアリーホテル」のNPS®の数値は30.5と非常に高く、「BBBホテル」は-16.4、「ビジネスホテル」は-27.0と低くなっており、かなり開きがある。同社は、NPS®を決定する要因の一つとして、事前の期待値と宿泊時のギャップが大きく影響すると考えており、ホテル宿泊業でいえば、予約時の「決定要因」と宿泊時の「良かった」こととのギャップがNPS®の数値に影響するとしている。
ホテルタイプ別のギャップベスト3
「ラグジュアリーホテル」のギャップ
「朝食の充実」12.2
「客室が清潔」10.7
「無料Wi-Fi環境」10.0
「BBBホテル」のギャップ
「客室が清潔」8.9
「無料Wi-Fi環境」「コンビニや飲食店が近い」6.4
「ビジネスホテル」のギャップ
「客室が清潔」8.7
「朝食が無料」7.0
「駅から近い」6.5
さらに、同社はリピートの顧客を増やすための「推奨者」を増やすために、比較的大きな投資を必要としない「スタッフのサービス」がNPS®とどのような関連性があるのかを検証した。「.こちらのホテル宿泊時において、あなたはスタッフのサービス、振る舞い、心遣いをどのように感じましたか。10点満点でお知らせください。」という質問の回答は別表となる。
1~6を低評価、7,8を中評価、9,10を高評価としたところ、「推奨者」は、明らかに「スタッフサービス・気遣い」に対して高い評価をしている。
ここまで、数値的に大きな違いが出てくると、スタッフの応対がゲストを「推奨者」にする大きな要因だと言えるだろう。実際に、9,10という高採点者のコメントは以下の通り。
・ロビーにいるスタッフが前日の会話の内容や、訪問したお店のことを覚えていてくれて、翌日またその会話ができた。 (ラグジュアリー/推奨者)
・常に笑顔を絶やさないスタッフと、無料の朝食がとても充実していて満足できたため。(BBB/推奨者)
・エレベーターの扉が閉まるまで会釈をしてくれた。(BBB/推奨者)
・部屋も明るく綺麗で、スタッフも笑顔でとても親切で、とてもテキパキしてとても気持ちがよかったです。(ビジネス/推奨者)
再宿泊意向と友達にクチコミをしているのかどうかのデータでは、「推奨者」の57.4%が「とても宿泊したい」と回答し、「宿泊したい」を合わせると再宿泊の意向は、96.7%にのぼった。
「他人に薦めた」は、「推奨者」の約61%にのぼり、実際に、薦められた人の中で、「宿泊した」「今後宿泊する予定」が、全体の約62.5%となった。
同社は今回の結果から、「推奨者」が再宿泊意向が強く、他人に薦めたことがある確率が非常に高いことがわかり、その「推奨者」を創り出す要素の一つとして、スタッフの接客が大きく影響していることもわかったとしている。