ホスピタリティマネジメント㈱ 常務取締役 寺田 敏明 氏
「意識」、「知識」、「技術」の中で
「意識」を変える研修が専門の一つ
―寺田さんのホスピタリティマネジメント(以下「HOMA」)の中で特に専門領域とされている部分について教えてください。
現在は経営改善も含め幅広い業務を担当していますが、私は料飲出身のため、どちらかというと料飲関係が得意分野ですね。
ただ、すでに13年もコンサルティング業務を行なっていますので、教育・研修という分野も多く手掛けています。その中でも、ホスピタリティマインド研修を導入研修として実施しているのですが、そちらもご要望が最近多いと感じています。
ホスピタリティマインド研修というのは研修を通じて、スタッフの「意識」部分を変える研修です。教育の中では、大きく分けて「意識」、「知識」、「技術」と三つの重要な要素があると思うのですが、どれも欠けてはならないとは言え、意識は全体のベースとなる非常に重要な部分です。意識を改善せずして知識や技術を磨いても根本的な部分は解決しません。しっかりと意識というベースをつくった上に知識と技術が乗ることで研修は大きな成果を発揮します。
―知識や技術はさまざまな情報でも得られるかもしれませんが、「意識」部分は簡単には変えられるものではないですよね。
そうですね。全員がガラッと変わることは希ですが、変わる人は大きく変わります。そして、そういう人に周りが影響をされて、結果として組織が変わっていくのです。また、研修は通常ホテルや旅館の社員の方だけではなく、アルバイトスタッフの方はもちろん、客室清掃や配膳会の方、警備員の方など、そこに関わるすべてのスタッフの方に受けていただきます。もちろん、経営陣にも加わっていただきます。
これはなかなか言葉では説明が難しいものなのですが、実施させていただいた企業様には非常に好評です。ただ、たった一度の研修でその効果が永続をするわけではないので、継続的な研修や研修後のチェックというのも欠かせません。
共に現場に立ち、同じ目線で伝えるから
伝わり、信頼関係と結果にもつながる。
結果、一年契約が、一年で終わらない。
—数あるホテル業界のコンサルティング企業の中で、HOMAのほかにはない強みはどこにあるのでしょうか?
その点は明快で、全員がホテルの現場出身者であり、全員が現場に入れるということですね。それが結果としてお客さまであるホテルや旅館のスタッフの方と近い距離になれますし、一緒にやっていくという雰囲気もつくれます。ときには現場の方が「●●だからできない」と言ったとしても、「こうすればできるのではないか」とはっきりと言うこともできます。
さらに、現場の皆さまの気持ちも理解していますから、ただ正論を振りかざして「これをやってください」「こうするべきだ」と言うのではなく、「苦しいのは分かります。しかし、これだけはどうしてもやっていただかないといけないのです」「一緒にやってみましょう」と言うこともできるのです。
今でも現場に入ることはよくあります。先日も朝六時から現場に入りました。そうすることで目線を同じにして、だからこそ言うことが伝わる。皆さん最初は「コンサルタントだ」と構えます。しかし、現場で一緒に汗をかき、同じ目線に立つことで、皆さんの気持ちも、提案の受け取り方も変わってきます。
さらに、私たちはお客さまをパターンに当てはめるようなコンサルティングは全くせず、それぞれの現場の実情にあった個別のご提案をさせていただきます。企業の文化、オーナー様の思いをできる限り汲んだ上で、目指すべき方向に進んでいく。だからこそ信頼関係が築けますし、結果につながります。
そのせいか、弊社ではもともと一年契約でスタートしても一年で終わることは少ないというのも特徴だと思います。中には10年間近くサポートしている企業も複数あります。ホテルや旅館の規模によってはコンサルフィーが相当な負担になっているはずですが、契約を継続していただけるということが弊社の実績であり、信頼のバロメーターになっているのではないかと思います。その信頼に期待以上の結果で返すことがプロとしての役割であると自覚しています。
変化に対応しつつも、大切な部分は変えない
—今回新体制となったわけですが、その中で寺田さん自身が目指すビジョンについて教えてください。
この度、常務という立場になり身も心も引き締まる思いでおります。ここ数年でテクノロジーの進化、そして若い世代の台頭、インバウンドの増加など私たちを取り巻く環境は大きく変わっています。当然、それによってマーケットニーズや価値観も変わりますし、提供すべきサービスも変わっていると感じており、そこにはしっかりと合わせていきたいですね。
一方で、誠実さ、真摯であること、信頼関係といった部分は変わってはいけないと思っています。新しいスタッフが増えてくる中でも、そこの部分は橋渡しとしてしっかりと伝えていきたいと思います。
ホスピタリティマネジメント㈱
http://www.homa.jp/