セルリアンタワー東急ホテル(東京都渋谷区)のタワーズレストラン「クーカーニョ」では、2016 年7 月13 日~ 31 日まで「ローラン・ジャナン プロモーション2016」を開催した。同企画は「ホテル・ル・ブリストル パリ」のシェフパティシエであるローラン・ジャナン氏の来日に合わせて開催される毎年夏の恒例イベントで、この機会を楽しみにしている熱烈なファンも多い。同ホテルとは2002 年より技術提携を結び、ペストリーショップやレストランのデザートメニューをプロデュースするほか、ホテルパティシエの技術継承、向上、育成にも貢献している。同氏の来日に合わせ同フェアの手応えなど話を伺った。
ホテル・ル・ブリストル パリ
シェフパティシエ
ローラン・ジャナン氏
「フォション」、「オテル・ド・クリヨン」、「フォーシーズンズホテル・ジョルジュサンク」を歴任してきたフランス・パリを代表するパティシエのひとり。現在は「ホテル・ル・ブリストル パリ」にてデザート部門を統括、「ミシュランガイドフランス2009」にて同ホテルが3 ツ星に昇格したことに貢献。2011 年に開催された「ザ・シェフ・トロフィ・ガラ2011」にて「パティシエ・オブ・ザ・イヤー」受賞。2013 年「農事功労章(シュヴァリエ)」、2016 年「フランスシェフパティシエ2016」を受賞している。
ローラン・ジャナン氏こだわりのコニャックを使用し、お酒の香りがしっかりと感じられるパルフェの中に2 種類のコーヒークリームを閉じ込めた作品。仕上げに“カフェ クリスティアン”(コーヒーのペクチンで固めた薄いフィルム状のもの)でデコレーションし、香ばしく炒ったヘーゼルナッツを添えた
セルリアンタワー東急ホテル
東京都渋谷区桜丘26-1
☎ 03-3476-3000(代表)
https://www.ceruleantower-hotel.com/
―熱烈なファンやリピーターがいると伺っていますが、今年のイベントの感想を聞かせてください。
大成功です。テーブルを回ってお客さまにごあいさつした際に、皆さまに感動していただいたということを感じることができました。
―イベントは「クーカーニョ」の永妻信人シェフとのコラボレーションということですが、どのように生み出されるのでしょうか?
イベントのメニューは、永妻シェフのプロヴァンス料理のフルコースの後に、アヴァン デセール、グラン デセール、ミニャルディーズと続くデザートのコースです。デザートはエモーション。インスピレーションから作り出すことを大切にしています。お客さまに「喜んでいただきたい」ということが第一義です。まずはホテル総料理長の福田順彦氏とシェフパティシエの牧野氏に15 周年アニバーサリーのデザートを選んでもらってから、全体の構成を考えました。基本的にはメインの食事の後、肉やチーズが供された後に続くものなので、甘すぎず軽やかなものを心掛けていますが、トラディショナルなものを大事にしながらも驚きのあるものに仕上げました。
―日本人スタッフとの連携はうまくいっているようですね。
永妻シェフとのコラボメニューは5 回目ですが、それ以前から一緒に仕事をしてきてスタイルを理解し合っているのでうまくいくのだと思います。
日本人とフランス人には多くの共通点があります。まず、食そのものを好み大切にしている点、職人気質でディテールへのこだわり、仕上げの細やかさ。デザートにも同じことが言えます。ルセットはパリと同じです。変えないからこそ、軽やかさを生かせ、エモーションもそのままに表現できています。
2002 年から技術提携し、仕事ではありますが、友情といいますか、人と人との絆を大切に続けてきたように思います。若いスタッフが目をキラキラさせて新しいことを積極的に学ぼうとする姿勢には感動してしまい、つい教えたくなってしまうほどです。一つのプロジェクトを行なったように確実にステップアップし、成長していると思います。
―若きパティシエにメッセージを。
国を問わず、若い人たちはすぐにWeb 検索して、わずか数分でルセットでも何でも探し出してしまいます。この探し方を変えてみると一歩、前に踏み出せると思うのです。そこから自分なりの新しいものを生み出して欲しいと思います。
さまざまなものが選び抜かれ、オーガナイズされた日本のコンビニが好きだというジャナン氏。「コンビニで僕のプロデュースしたシャーベットを販売するとか、さまざまなことを妄想して楽しんでいます」と笑った。
セルリアンタワー東急ホテル
https://www.ceruleantower-hotel.com/