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ホテルイベントレポート 株式会社ホスピタリティデザイン横浜/ザ・カハラ・ホテル&リゾート 横浜

ホテル業界が従業員に対して提供できる価値とは、石原 健氏と阿部 泰年氏がトークセッションにて提言を発信

2024年11月07日(木)
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左からザ・カハラ・ホテル&リゾート 横浜  阿部 泰年氏、株式会社ホスピタリティデザイン横浜  石原 健氏
左からザ・カハラ・ホテル&リゾート 横浜 阿部 泰年氏、株式会社ホスピタリティデザイン横浜 石原 健氏


 株式会社ホスピタリティデザイン横浜 代表取締役の石原 健氏とザ・カハラ・ホテル&リゾート 横浜 総支配人の阿部 泰年氏によるトークセッションが10月31日、同ホテル1階宴会場・ボールルームにて行われた。
 当日は「ホテル業界が従業員に対して提供できる価値とは」をテーマに会ではホテル業界関係者やホテル業を志す学生を交え約70名が参加。本誌「月刊ホテレス」にて連載「もう、悩まない!『石原健のHOTEL LOVERS』」を手掛ける石原氏と、長年コンシェルジュとして業界の第一線を歩み2021年8月付で同ホテル総支配人に就任した阿部氏、両氏の知見が余すところなく述べられ、本稿ではその一部を紹介する。

 

Q1 ホテル業界で働いていて良かったこと、楽しかったこととは

石原氏 楽しかったことは何でもですね。もちろん辛いこともありましたけれど、それを糧にしてどのように変えていくか、将来の経験値としてそれが使えるようになっただろう、というふうに思ってきました。30年やってきた中でいろんなことがありましたけど、どんなお客様でも喜んでいただいてお帰りいただく、またお越しいただく、そのために何ができるのだろう、ということを考えながらやることが一番楽しかったです。

 
阿部氏 私はコンシェルジュという仕事を長くやらせていただきまして、その日々が本当に楽しかったですね。勤めていたホテルはほぼ外国人のお客様でして、一日を通して英語しかしゃべらないという日々でした。外国人のお客様からのリクエストは無理難題なこともあり、そういうリクエストに対して応えていくことは本当に大変でしたが、思い返すと楽しかったと感じています。例えば、観覧車を貸し切ってくれ、20年前に来日した際に会った〇〇さんを探してくれ、というのもありました。
 

Q2 ホテル業界だからこそ学ぶことができたものとは
 
石原氏 私は厚生労働省のハラスメント対策委員という、カスタマーハラスメントに取り組んでマニュアルを作っていますが、他の業界だと基本的にはレギュレーションでないことやマニュアルにないことはNOなんですよね。ホテルはそういうことに応えるからこそお客様がリピートしてくださり、ファンになってくださる。だからこそ、これはできるのではないかっていうことを行うことが、ホテルマンにとってプライドであり、ホテルの価値だと考えています。
 
阿部氏 お客様と衣食住をともにする私どもは、お客様にとってファミリーだと思っています。他の業界と比べてお客様と喜怒哀楽を共にする、そういう関係性をつくることができるのはホテル業ならではです。先日、20代のころから厳しく私を見守ってくれたお客様がいらっしゃって、当時の一言一言を振り返る機会がありました。まさにホテルマンというのは、お客様が育ててくれる仕事だと実感しています。

 

Q3 スタッフからマネージャーへステップアップするために要用となるものは
 
石原氏 経験値というものが一番に挙げられるのでしょうが、新人の頃は目の前のお客様に真摯に対応するっていうことで精一杯という部分があると思います。何年か経験していくうちに日々の業務をこなすだけなのか、次のステップを目指し違うことを考えるのか、少しずつ変わってきます。お客様だけを見ていくのか、それとも一緒に働いている仲間たちやパートナー企業など全員を考えていくことができるかが違いだと思っています。
 
阿部氏 キャリアプランをしっかりと立てること、自分自身がどうなりたいのかっていう絵をしっかり描くことが大事で、それがゴールにもなります。私はよく、ジェネラリストとスペシャリストのどちらを目指すのかとアドバイスしています。私自身はコンシェルジュというスペシャリストから、ジェネラリストとして総支配人の機会をいただきました。そして、キャリアプランは何回でも方向修正やアップデートをしても良いものなのです。
 

Q4 サービスをするにあたって感動の領域まで持っていくために必要なこととは
 
石原氏 あらゆることに感動してもらえるような内容にして、そして感謝して帰っていただく、そのためには自分のプライベートのことを考えなさい、と若い時に教わりました。自分の家族が誕生日の時などに何をプレゼントしたら喜んでくれるのか、プラベートではこういった積み重ねをできます。仕事でも同じようにできるようになるためには、真剣に取り組むことから始まるのだと学んだのです。
 
阿部氏 100%の満足を120%の感動に変える、ということをスピーチで話すときによく言いますが、この20%の付加価値をどのように付け足すのかを考えることが、その答えになると思います。シチュエーションによって異なりますが、過去には本来してはいけないことと分かっていましたが、120%の感動へと至るためにマニュアルを破ってしまった、という経験もあります。
 
 会ではそのほか、ホテル業界の給与水準や人手不足問題、そして横浜エリアが今まで以上に活性化するための施策などについて、両氏が忌憚のない意見を交わし合った。

 


―――
文・オータパブリケイションズ 臼井 usui@ohtapub.co.jp

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