海外市場を切り開く切り札となるサービスに着目
「顧客開拓のためにも海外市場に目を向けなくてはいけない」。そうした問題意識を持ちながらも有効な手立てを打ち出せていない宿泊施設が多い。解決策はないのであろうか。
インバウンド売上向上支援サービスを提供
観光庁の調査によると、2023年の訪日外国人の消費総額は5兆2,923億円。もはや、コロナ前の2019年の4兆8,315億円を上回っている。しかも2024年は、さらに伸びそうな勢いである。ホテル・旅館側からすれば高まる需要をいかに取り込んでいくかが問われているが、インバウンド対応ならでは難しさもあって、まだまだ試行錯誤が続いているのが実態といえる。
そうした中、インバウンド売上向上支援サービスを提供し、宿泊施設の稼働率向上に貢献しているのが株式会社縁多だ。同社は、2013年の設立以来、「日本の宿泊文化旅館を世界へ」をビジョンに、宿泊事業が抱えるマーケティング課題の解決に向けてさまざまなソリューションを展開している。このプログラムもその一環として位置づけられている。インバウンド集客支援の拠点となっているのが、都内・新宿に構えている予約センターだ。
顧客ニーズにマッチした受け入れ体制を整えることで現場での無理な要望などを未然に防ぎクレームなども抑制することが可能、さらに結果として同じサービスをしたとしても事前の意思疎通があることで顧客満足度=口コミ評価も高く得られる。これにより新規顧客獲得にも結びつけることができるなど、施設側のメリットはかなり大きい。
「旅館のオーナー様から『海外のお客様を積極的に迎えていきたい』というご要望をいただき、2015年に予約センターを立ち上げました。以後、順調に需要が伸びていたものの、コロナ禍期間中は何も身動きができず、今年ようやく体制を再編し、より多くの宿泊施設にご利用いただけるよう活動を進めています」と、同社社長の日比野元哉氏は語る。
同社では契約先の宿泊施設からアカウントIDやパスワードを発行してもらい、その施設の予約担当者として各種OTAを通じて、海外からの顧客の予約受付や顧客情報の獲得・報告・最終確認などを行っている。対応しているのは、バイリンガルな女性スタッフたちだ。
「新規の予約やキャンセルへの対応、OTAからの問い合わせへの返答などで日々追われています。『貸切風呂を予約したい』『アレルギー体質なので食事には注意してほしい』などリクエストいただく内容はかなり多彩です。施設でできること、できないことも含めて、一つひとつきめ細かく対応するように心がけています」とスタッフの平田真実氏は指摘する。
「どうしても言葉の問題や文化の違いもあって、宿泊施設からすれば外国人顧客とのやりとりはストレスが伴います。さらには、海外の予約サイトを活用してインバウンドの予約を増加させるとなるとマーケティングの知見が求められるだけに、なかなか内部のリソースだけでは」有効な施策を打ちにくいのが現状です。それらをすべて当社が代行できるだけに、利用者からの評判はかなり高いです」(日比野社長)
海外のOTAチャネルとの円滑な関係構築を
実際、インバウンド向けのチャネルは国内とは異なり、かなり複雑な構造にあるだけに宿泊施設側でも把握しずらかったりする。現状ではBooking.comが世界最大級であるが、それ以外にもさまざまなプレイヤーが乱立しているだけでなく、表立ってはいないがOTA同士が提携しているケースもあったりする。「中には、サポート体制が十分でないOTAもあるので、下手に色々提携してしまうとお客様とのトラブルを自分たちで解決しなければいけません。それを避けるためにも、我々のような専門マーケティング事業会社に託されることをご提案します」と日比野氏は強調する。
利用料金もかなりリーズナブルだ。目安としては、100室以上の規模で月額20万円程度から。別途、成果報酬という形態も可能であり、その場合にはもう少しベースの金額を抑えることができるという。
「インバウンド市場は、今後さらに伸びていくと見込んでいます。これまでは、東京・大阪・広島など新幹線を利用して移動できるルートが人気でした。しかし、今はレンタカーの利用率がかなり高まっているので、行動範囲が全国へと広がっています。地方でもインバウンドの需要が盛り上がっていくと予想しています。当社としても、予約センターの体制をさらに拡充して、多数の宿泊施設からのご要望にお応えしていきたいと考えています」と日比野社長は、今後に向けたビジョンを語った。