1980 年、東京・西新宿に日本初のハイアットのホテルとして開業した「ハイアット リージェンシー 東京」。開業35 周年を迎える本年の4 月に、総支配人に就任したのがこれまで数々のインターナショナルホテルチェーンで活躍してきた経歴を持つ高沢朝美氏だ。同氏によってハイアット リージェンシー 東京の何が変わるのか。高沢総支配人にその構想を伺った。
聞き手・本誌 岩本大輝 撮影・林正 文・アクセント
ホテルマンにはコミュニケーション能力が大事
❒ まず、ホテルの現状について教えてください。
ホテルのロケーションのよさも寄与して、宿泊部門は好調を維持しています。一方、これまでのような企業の接待需要が減ってきていますので、夜の料飲施設も元気にしたいと思っています。また、一般宴会と婚礼もやや伸び悩んでいます。リーマンショック後や東日本大震災直後に比べれば状況はよくなってはいますが。
❒ 貴ホテルの位置づけをどのように考えていますか。
新宿エリアとしての位置づけ、またハイアットグループ内での位置づけを考えていかなければなりません。エリアとしては、西新宿に大規模なシティホテルが三つほどありますが、宿泊需要をうまく分け合えているように思います。ハイアット リージェンシー 東京は比較的リーズナブルな料金で泊まれるホテルとして外国人の利用が多いのが特徴ですね。最近のADR は2 万円を超えるあたりで推移しています。外国人の割合は70%を超え、米国人が最も多く、昨年あたりから次いで中国人となっています。
ハイアットグループとしては、港区にグランドとアンダーズ、新宿にパークとリージェンシーがあるのですが、当ホテルは客室が740 室規模なので大きく取り込めるところを狙っています。そういう意味では、ハイアットグループ内のポジショニングもとても明確になっているのではないでしょうか。
❒ これまで数多くのホテルをご覧になってきた中でハイアット リージェンシー 東京はどのようにお感じになりますか。
レストランのクオリティーが非常に高いところがよいと思います。サービスに不備があるのなら、一緒に働いて質を上げていくことができますが、料理はそうはいきません。レストランはもとより宴会料理もおいしいのがこのホテルの魅力だと思います。
❒ 総支配人は現場を重視するタイプや数字を重視するタイプなど、さまざまなタイプに分かれると思いますが、高沢さんはどのように自己分析されていますか。
ホテル業は「人」対「人」のビジネスですから総支配人には、対お客さま、対スタッフ、対オーナーなどさまざまな面でコミュニケーション能力が求められます。そうした中で私は自分の目で現場を見ないと納得できないタイプですね。事務所で数字を見ているだけでは、ホテルのオペレーションをきちんと回すのは難しいと考えているからです。勤務時間の半分ぐらいは現場に立っています。お客さまの中には総支配人と直接話をすることをうれしいと感じてくださる方も少なくありません。お客さまに対してはもちろん、ホテルのスタッフたちに対しても私が現場に出る意味はあると思います。せっかくホテルを職場に選んだわけですから、スタッフは総支配人を目指してほしいし、目指すべき総支配人がどんな人なのかが分からないのではかわいそうですから。総支配人としてどのような仕事をするのかを見せるのも私の役割だと思っています。