10 月16 日、『必ず成功するホテルリノベーションpart10』刊行記念シンポジウムがTRUNK HOTEL で行われた。インバウンドが好調の今、オリンピック開催を見据え、ホテル建設、リノベーションに拍車がかかる。これからのホテル業界はどうなるのか。熱い議論の一部を紹介したい。
【第1部】スペシャルトークセッション
三井デザインテック㈱
ソリューション推進部長兼事業戦略室長兼
マーケティング推進室長
馬渡 伸之氏
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小社 専務取締役 経営調査室 室長 村上 実
旅館業法改正、AI・IOT、
多様化するホテルに
求められること何か
村上 1943 年旅館業法が施行されて以来70 年間そのままだった法律が緩和する方向にある。民泊等も含め多様化するホテルの誕生やインバウンドの増加でホテル業界はどうなるのか?
馬渡 まずは日本のホテルの変遷をみていきたい。① 150 年前にホテル② 1964 年東京オリンピックで第1次ホテルブームが到来。高度成長期にはデベロッパーが参入。③国内インフラの発達で異業種が経営に乗り出し、投資の世界が広がる。バブル期で第1次外資系御三家出現。④リーマンショック。大規模開発時のオフィスビルの複合施設に規制緩和があり、外資系ホテル誘致し第2次、第3 次外資系ホテル参入。そして、ホテルは時代のニーズで変遷を続ける。
村上 今回旅館業法改正でどんなことが変化すると思うか?
馬渡 少子高齢化社会で労働人口が減少するが、オリンピックやリニアモーターカーの開業で環境は変わる。2020 年はインバウドが4000 万人超で消費額8兆円と予測されている。企業ベクトルでいえば大規模開発、大型インフラ整備がもたらす影響があり、AI、IOT などのテクノロジーの発達もこれからは環境変化が問題になる。
村上 ホテル業界への直接の影響はどんなことだろう。
馬渡 一般企業のホテル業界への参入で労働雇用問題があり、外国人動向の変化、海外ホテルブランドの日本進出が加速するだろう。ミレニアル世代の市場拡大で価値観の変化、民泊、簡易宿泊所、船泊の問題もでてくる。ポイントは、政府・自治体による法規制の緩和、変更による功罪であり、ホテルの役割と都市化の役割の境界線による功罪が重要な課題になると思う。
村上 消費者マインドについてはどうか。自宅がホテル化し、ホテルが自宅化しているようだが。
馬渡 ホテルは変わるというより多様化している。SNS の広がりをみてもわかるが、本物でなくてもよいから経験したいというインバウンドの若い層が形成されている。
村上 ホテル利用の時間消費についての考え方も変化している。
馬渡 ラグジュアリーホテルのような消費満足型ばかりでなく、コンセプトを重視した個性派タイプなども多様化している。価格帯と時間消費時間が必ずしも整合していない。ライフスタイルホテルも認知され、今後はこの勢いが加速するだろう。
村上 今後のホテル業態の展望は?
馬渡 ホテル業界の役割は人と人、場と場をつなぐ役割。滞在する時間による顧客満足があれば将来的な市場を耕すことになるだろう。経営者,運営者、投資者すべてがWINWIN の関係になれば、満足度の高い展望になるはず。