星野リゾートは、オンライン記者会見を 10月 12日に開催した。代表の星野佳路氏は冒頭、アフターコロナで沸くインバウンドの急増よりも日本の海外旅行(アウトバウンド)の減少に注目、新たな商機が望めるとした。「コロナ禍前に毎年約 2000万人だったアウトバウンドはコロナ以降大幅に減少。
長引く円安と海外のインフレの影響もあり、回復は鈍化。また世界的な流れとして、ステークホルダーツーリズムが重視されており、日本も入り込み数(数)を追うのではなく、満足度(高付加価値化/リピート)を高めることが必須」と転換期であることを示唆。
その打開策となるのが、入り込み数以外の新たな KPIだとして、「温泉地ランキング」「稼働率」「投資の創出内容」「生活者関与度」「社員の満足度」「メディア露出量」の六つを重視していくべきと提唱した。
そのポイントを踏まえた実践事例として、2016年 1月に「長門湯本温泉マスタープラン」の策定を受託し、「界長門」開業などをへて山口県の長門湯本温泉の再生に至った事例ほか、これらを踏まえて挑む、北海道弟子屈町の国立公園内の温泉地で進めているマスタープラン・プロジェクトを明かした。
年内に開業する OMO関西空港 by 星野リゾート(2023年冬開業)や、リゾナーレ大阪(2023年 12月16日開業:再リノベ)のほか、今後の予定案件についても発表した。
社会課題でもある人材不足に対し、同社ではリゾート地に多く展開していることから、近年は地方大学への新卒採用の強化と内定受託率を増やす独自の努力を続けている。
会見での星野代表。ステークホルダーツーリズムの事例として、ニュージーランド・クイーンズタウンの取り組みも紹介。観光客は街のカフェで 5ドルのステンレス製のカップを購入し、プラス3ドルでいずれの店でもコーヒーを淹れてもらえ、カップ返却でどの店でも 5ドルを戻すという