今回は、態度構成要素として重要である「感情」を左右するシーン、あるいは望ましい「行動」を引き出すことを通じて「態度」に影響を与えるシーンとして、いくつか調査結果に基づく具体的事例をご紹介したいと思います。例えばネガティブで負の感情を与えてしまう可能性があるシーンを想定した調査結果をご紹介させていただきます。良い感情を複数回体験いただくことを考える際に、別のシーンで負の感情を覚えてしまいますと、ほかのシーンで良い感情を得たとしてもマイナスの効果が強みをかき消してしまう可能性もあります。例えばレストランにて適温でない料理が提供されるような場合、顧客の感情はどのように変化するのでしょう。調査では、「残念」という気持ちが72.5%という結果でした。
レストランにおけるホールスタッフが、テーブルを見ていないと感じてしまいますと、73%が同じく「残念」と感じています。 フロントスタッフでは、常に下を向いて作業をしているような場合、72.5%が「残念」と感じてしまう可能性があります。
その他では、例えば客室内のダイレクトリーであれば、新鮮な状態でていねいに「紙」で直接閉じられているようなダイレクトリーであれば、44.5%が読もうと思うとの回答でした。これは、実際に「行動」につながっており、興味を抱かすという意味において「態度」につながっています。
その他エレベーター内で、レストラン等の宣伝チラシ類が壁に掲載されているような場合、「行ってみようと思う」というポジティブな態度につながる可能性が高い「思う」と回答した人の割合で12%、どちらでもない以下合計47.5%という結果でした。
エレベーターの質感を損なっていないか、それが感情にネガティブに働いていないか、その上で、効果が見込まれるか否か、慎重な判断が必要なシーンと言えます。
このように、個々の顧客体験シーンにおいて、顧客がどのような「感情」を覚えるのか、あるいはどのような「行動」につながる可能性があるのかを慎重に検討しつつ、顧客の「態度」形成を検討する精密な視点が将来の競争力向上に欠かすことができないものと考えられます。