----名古屋エリアが、高付加価値化を推進する要素としてリニア中央新幹線の存在も大きいと感じます。
今まで以上に各都市間の結びつきが強まり、世界で類例のない巨大都市圏が誕生するとされ、人々のライフスタイルを変えるきっかけになると思います。関東・関西の一極集中でなく中京圏と連動する事で、さらなる経済効果を生み出すためにも愛知、名古屋における観光資源の掘り起こし、高級ホテルの新設、コンベンション施設等の増設はハイレベルな国際会議の開催や海外富裕層旅行者等の誘致獲得には欠かせません。これらは一ホテルでは成し遂げられませんが、宿泊施設はもとより、行政、エージェント、運輸等、観光産業に携わる皆さんと連動していきたいと思います。
----人材不足に加えホテル開発が活況な名古屋において、スタッフの力はさらに引き上げていく必要があると感じます。具体的な策についてはいかがでしょうか。
原点に立ち返り、「働き甲斐」や「働きやすさ」を感じる環境をどのように整備するか、スタッフ自身が成長を感じえる育成をどう行なうかを模索してきました。コロナ禍は特に各部門でのトレーニングを徹底強化しました。並行して DX化を推進し、業務の洗い出しを図り、人でなければならないコト、モノに対する付加価値化についても考えていきました。働きやすさ、継続して勤務する価値を職場にも見出せるよう、現時点では微調整を図り続けているところです。
コロナ禍では低稼働(非営業含む)を逆手に、サービス部門はもとより調理部門でもマルチタスクに取り組むことで横断的な部門連携を行なうことができました。特に、調理スタッフについては、日本料理や中国料理のスタッフが洋食やペストリーなどを体験しあうことで技術の革新につながったと思います。お互いの技術を磨くこと、そしてコミュニケーションを交わすこと、そうした職場環境を構築することで、離職防止の狙いも含め、各セクションで変革のための取り組みを模索しながら前進してきました。この 3年間(コロナ禍)の取り組みはアフターコロナのいま生きてくると考えています。
また新入社員の離職を未然に防ぐ取り組みとして、半年ごとの面談に加え課程ごとのキャリアアップの確認をすることで、次の目標を明確にするほか、調理スタッフにおいては 4~5年目を対象に「お披露目会」というコンテスト形式の企画を実施し、自身でイチから調理をして試食を提供してもらうことを継続してきました。こうした取り組みはコロナ禍を機に実施してきましたが、アフターコロナの急速な回復の中、スタッフの能力や生産性は飛躍的に向上しており、今後もインナーブランディングにつながるアクションとして続けていきたいと思います。
今後、人口減という事実は変えられず、DX化によって人員の業務が“失われる”のではなく、AIなどデジタル化が推進できる部分と時間外労働を減らしながら、健全な職場環境を推進していきたいと思います。
2023年11月17日号 トップインタビュー 名古屋マリオットアソシアホテル 常務執行役員 総支配人 大本 茂 氏
トップインタビュー 名古屋マリオットアソシアホテル 常務執行役員 総支配人 大本 茂 氏
【月刊HOTERES 2023年11月号】
2023年11月16日(木)