第 19 回「メートル・ド・セルヴィス杯」優勝を勝ち取った「ピエール・ガニェール」 のメートル・ドテルを務める山地裕也氏。今後はこの経験と技術を若い世代に伝えていけるよう、人材育成にも力を入れたいと語る
ANAインターコンチネンタルホテル東京を代表するレストランといえば、三つ星シェフであるピエール・ガニェール氏がプロデュースし、12年連続するミシュラン二つ星獲得を誇る「ピエール・ガニェール」だろう。今年、同店でメートル・ドテルを務める山地裕也氏が、フランス料理レストランにおけるサービス技術を審査する国内最高のコンクール、「メートル・ド・セルヴィス杯」で優勝した。同コンクールの審査内容は多岐に渡り、難易度が高いことでも有名だ。予選においてはレストラン全般の知識を問う筆記試験や論文などを提出し、準決勝からは実技審査として、外国語(フランス語または英語)でのオーダーテイクや、ワイン・チーズのブラインドテイスティング、サラダの調理、テーブルサービスなど実戦における技術審査が課される。決勝では、オーダーテイクやデクパージュ、ワインのサーブなど、レストランにおける一連のサービスを通した総合的な技術レベルを審査される。ベテランのサービスマンでも非常に緊張を強いられるコンクールだともいわれ、そこで優勝するということは最も権威あるサービスパーソンとして認められるということだ。
本コンクールの挑戦にあたっては、出身校に赴き専門文献を調べたり、自宅で食材を購入しテイスティングの訓練をするなど山地氏本人の努力はもちろんのこと、“チーム山地”の支えがあった。同店調理チームはサービス技能の練習のため、食材調達をし、調理をした。サービスチームは外国人マネージャーによる英語でのオーダーテイク指導をすることで、ブラッシュアップに協力した。ホテルとしても練習用の食材費用や同コンクールの参加費などコスト面での協力を惜しまず、ホテル一丸となって山地氏を応援したという。1月には人事部門QCIチームの取り組みとして、部署を問わず、全従業員を対象にした『山地社員のサービスコンクール優勝記念報告会』を開催予定とのことだ。山地氏から同コンクールの内容や挑戦したきっかけ、優勝した今の心境や日常の業務に生かせる点などを学ぶ場を設けることで、「後続するスタッフの士気向上やサービスのスキルアップにつながる機会にしたい」と語る。
ピエール・ガニェール内観
長期化したコロナ禍が沈静化しつつある中での朗報は、現場スタッフのモチベーションもあげたという。お客さまにとっても日本一のサービスと共に「ピエール・ガニェール」の料理を楽しめるタイミングが、行動制限解禁と共に訪れた形だ。コロナ禍による生活様式の変化で、外食に対する特別感がいま改めて高まっている。山地氏のサービスが演出する“より特別な”時間が作り出す贅沢さと共に、ぜひ「ピエール・ガニェール」での食事を楽しんでもらいたい。
ピエール・ガニェール
https://anaintercontinental-tokyo.jp/pierre_gagnaire/
担当:毛利愼 mohri@ohtapub.co.jp