世界では上記「ESG 投資」とも並行し、「金融安定理事会」が、気候変動に関する企業の対応を情報開示するように流れを作ろうとしています(「気候関連財務情報開示タスクフォース(「TCFD」:Task Force on Climate-related FinancialDisclosures)」を設置)。それらを背景にキャピタルマーケットにおいても、「企業が気候変動に関してどのような対応を行なっているのか」という情報を重視するようになっており、対応状況およびその内容が、投資家が企業の業績を分析し投資判断をするための重要な指標の一つになっています。
ついで「SBT」をご紹介しましょう。「SBT」とは、「Sciencebased Targets」の略称で、2014 年9 月にUNGC(国連グローバル・コンパクト)やWRI(世界資源研究所)等によって共同設立されました。「SBT」とは、産業革命時期比の気温上昇を「2℃未満」にするために、企業が気候科学(IPCC)に基づく削減シナリオと整合した削減目標を設定する行為です。これまでより一層、環境に配慮した企業かそうでないかが、特にキャピタルマーケットにおいて、重要な投資判断指標となっており、企業価値に大きな影響を与えており、さまざまな企業でそれらの取り組みを専門に取り扱う部署を新たに設置する等積極的な対応が求められているのです。
そのような環境にあって宿泊施設にとっても重要度は変わりません。キャピタルマーケットでは上記の通りですが、さらに施設を利用する顧客側でも関心の高まりが見られます。環境配慮型ホテル旅館運営には、広い視点から地域に対するイメージの向上が見込まれることや、温室効果ガスの排出を抑えることで収支上見込まれる経費削減効果、優遇政策の有無による経済的効果等が見込まれます。さらにホテル旅館の場合、環境配慮型ホテル旅館運営に対する顧客評価について、弊社が実施したアンケート調査結果を改めてご紹介します。代表的な環境配慮型運営としての直接的取り組みとして「温室効果ガスの抑制」と間接的取り組みとして「環境保全基金への寄付」を想定し、それぞれに対する顧客ニーズ(重視するか否か)と経済的効果(実施する施設に追加で金銭を支払うとすればいくら支払うか)を、全国ランダムに選ばれた男女200 名にアンケート調査を実施したものでした。