大住 力(おおすみ・りき)
ソコリキ教育研究所 所長
公益社団法人「難病の子どもとその家族へ夢を」代表東京ディズニーランドなどを管理・運営する㈱オリエンタルランドで約20 年間、人材教育やプロジェクトの立ち上げ、運営、マネジメントに携わる。退社後、「ソコリキ教育研究所」(研修・講演・コンサルティング)を設立し、前職での経験を生かして、人材育成プログラムを企業などに展開している
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■ Case Study 11
部下の話に傾聴する(メンタルケアのための面談、カウンセリング)
皆さま、職場での部下のメンタルケアのための面談は、どのように対応されていますか? 機械であってもメンテナンスや修繕が必要不可欠なので、人間だって、もちろんケアは必要です。皆さまは、どのようにして部下とコミュニケーションを図り、部下の話に傾聴していますか?
私の育ったディズニーの世界では、“ ブラザーシステム” という師弟関係、徒弟制度に似たシステム、仕組みがあり、指導トレーナーである先輩と後輩のトレーニーの関係性のことを指しています。その関係性の一つの教えの中に、“ 公私にわたって、面倒を視みる” とあります。一般的に考えると、これはあくまでも“ 職場” であり、“ 仕事” の環境の話なので、なぜ“ 公私”、“ 私事” を含めるのかと不思議に思う方もいるかと思います。
しかし、この一見、“ 私” に踏み入ることこそ、部下やスタッフ一人一人のメンタル、心の奥底に触れ、その本質のケアを行なうことができると、私は思います。
以前、ある企業の経営者層の変革コンサルティングを行なっていた際のこと、その企業は急成長の真っ最中で、各経営陣も各担当事業に大忙しの状態で、なかなか経営者としての“ 役割” をまっとうできない状況にありました。経営者としては、常に10 年先をも展望し、その対策を講じながら、日々を実践していかなくてはなりません。しかしながら、その企業は事業の発展や成長に追われ、そのような余裕はほとんどありませんでした。
そのようなときに、私は全経営層の一人一人と面談し、各人のメンタルの整理を行ないました。ディズニーでは、よくこうした時間や機会はありましたので、同様にして行ないました。
結果的には、対話している途中から涙を流しながら吐露する役員もいて、そのほとんどが実施後、晴れ晴れとした表情になり、業務につくことができるようになりました。
今回は、メンタルケアのための面談について、進めていきたいと思います。