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毛利愼の外食エンターテインメントVol.92

未来への可能性と成長のきっかけをサポート! zettonが手掛ける就労体験、「ミライヅクリカフェ」

2024年04月15日(月)
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「ミライヅクリカフェ」に参加した子供たち。始業前には不安になる子供もいたが、お客さまの顔が見えてからはみな、積極的におのおのの業務を遂行。当日、サポートについたzettonのスタッフと共に
「ミライヅクリカフェ」に参加した子供たち。始業前には不安になる子供もいたが、お客さまの顔が見えてからはみな、積極的におのおのの業務を遂行。当日、サポートについたzettonのスタッフと共に

2019年の“サステナビリティ ストラテジー”発表から5年強、経営戦略骨子としてもサステナビリティへの取り組みを掲げているzetton。その一つである“人権・労働に配慮した社会実現への貢献”として取り組み続けているのが、知的障がい児・発達障がい児を対象としたサーフィンスクールを行なっている認定NPO法人Ocean’s Loveへの支援活動だ。同プロジェクトは12年に法人サポーターとして参画、13年からはサーフィンスクールでの昼食作りや「Aloha Table」での就労体験「Aloha Table sharing ALOHA Spirit ! 」などを行こなってきており、“サステナビリティ ストラテジー”発表以前から続く活動だ。

ちなみに、お客さまを出迎えての就労体験は一朝一夕になし得たことではない。子供たちの負担が大きくなりすぎないようにとの配慮から、初動は自分たちの食事作り、次にお客さまを家族に限定してのカフェ開催と段階を経る形でプログラムをブラッシュアップし、子供たちだけでなくサポートする側の経験も積んできた。その上で一般のお客さまを迎えてのカフェ開催へと歩を進め、飲食店にとって重要な衛生管理や、手洗い・手袋着用の意味などについても理解の場を作るべく、就労前に深く伝える時間を取っている。このように実際の就労に至る前段階においても子供たちの準備を丁寧に進める姿勢には、同社のサステナビリティに対する意識はもちろんだが、ホスピタリティに対する考えも反映されているように感じる。

コロナ後初の開催となった今年は、日本橋髙島屋S.C.本館屋上のカフェFEEL GREEN CAFE」での初開催となった
コロナ後初の開催となった今年は、日本橋髙島屋S.C.本館屋上のカフェFEEL GREEN CAFE」での初開催となった
階段を使ってのフード提供など、初心者であれば障がい者でなくとも容易ではない作業にもみな一生懸命に取り組み、お客さまの“美味しい”のために頑張った
階段を使ってのフード提供など、初心者であれば障がい者でなくとも容易ではない作業にもみな一生懸命に取り組み、お客さまの“美味しい”のために頑張った

ところで、「ミライヅクリカフェ」では子供たちの就労に対して報酬を支払っている。一見、当たり前のことのようだが、幾名もの保護者の感想にそのことが“(嬉しい)サプライズだった”、“まさか貰えるとは思っていなかった”ということが記されており、zettonの誠意を感じると共に、障がい児への就労体験を提供する側の良識について考えさせられる場面もあった。

“モチコ・チキンプレート”。 盛り付けのバランスもよく、動きやすいものが多いメニューもきれいな状態でサービス。現場スタッフの手厚いサポートのもとでではあるが、その仕事ぶりに子供たちの几帳面さが表れていた
“モチコ・チキンプレート”。 盛り付けのバランスもよく、動きやすいものが多いメニューもきれいな状態でサービス。現場スタッフの手厚いサポートのもとでではあるが、その仕事ぶりに子供たちの几帳面さが表れていた
フードメニューは「Aloha Table」のラインナップから、“ロコモコ・プレート”、“モチコ・チキンプレート”、ロコモコとモチコ・チキンのコンビである“ハワイアンコンボプレート”が提供された写真は“ハワイアンコンボプレート”
フードメニューは「Aloha Table」のラインナップから、“ロコモコ・プレート”、“モチコ・チキンプレート”、ロコモコとモチコ・チキンのコンビである“ハワイアンコンボプレート”が提供された写真は“ハワイアンコンボプレート”

ここで、「ミライヅクリカフェ」に参加した子供たちの親御さんからの声をいくつか紹介したい。
 
「さまざまな理由から不安が強くなっていたところ、今回の就労に参加したことで子供が少し自信を取り戻した顔になりました。久しぶりにそのような顔を見ることができてとても嬉しく思います」
 
「振り返りの時間の折にサポートについていただいたスタッフの方から、よかった点、頑張っていた点、今後へのアドバイスを丁寧にいただき、また表面的にではなく、“本人がどういう子なのかを真剣に見ていただいた”と感じるコメントを多くいただきました。私たちも本人をもっと褒め、良い点を伸ばしていこうと改めて思いました。本人もとても充足感を感じたようで、今後の進路についての考えが変わったようです」
 
「サポートについていただいたスタッフの方からこれからの課題に加え、良いところをたくさん見つけていただき、親目線ではマイナスに捉えてしまうこともプラスに受け取っていただき、とてもありがたかったです。“危ないから、心配だから”とついつい手を出してしまうことは本人の不安にもなり、でもやらせてみたら出来てそれが本人の自信につながる。頭ではわかっていても普段なかなか出来ないことを経験させていただき、本当に貴重な時間になりました」
 
子供たちからは一様に、“楽しかった”、“また参加したい”、“仕事(働くこと)が好きだ”という声があがっており、就労体験が子供たちの未来への可能性や選択肢を増やす経験となったようだ。
 
さらにはサポートにあたったスタッフたちからも
 
「とてもいい経験ができた。私たちの方が学ばせてもらう一日だった」
「私たちにもできないことはたくさんあり、障がいは一つの個性だということを改めて気付かされた」
「子供たちが働く姿に初心に返ると共に、飲食店のあるべき姿を見た感じがした」
 
などの声が上がっているといい、迎える側にとっても得るものの多い、豊かな時間だったことが窺える。
 
今回のような取り組みは、現場の安全面はもちろんのこと、子供たちのメンタルケアなど現場でサポートするスタッフの理解や力量も大いに必要とされるため、簡単に導入し得るものではないだろう。しかし、多様性豊かな社会の創生において意義高いものであることは間違いない。その証拠に同社に子供たちを預けた多くの親御さんから、“子供の自信につながるチャレンジだった”という感想が寄せられている。実装が決して容易なものではないことは筆者も理解している。しかし本取り組みに接し、同社の今後の展開に期待すると共に、何かしらの形でこのような機会創生に参画する企業が増えてもらえればと思った次第だ。
 
株式会社ゼットン
https://www.zetton.co.jp/
 
Ocean‘s Love
http://oceanslove.com/
 
 

調理と接客のいずれを担当するかは、現場スタッフがそれぞれの症状や状況、適性を鑑みた上で決めている
調理と接客のいずれを担当するかは、現場スタッフがそれぞれの症状や状況、適性を鑑みた上で決めている
ドリンク担当の他、お客さまの来店時の声がけを担当。「ミライヅクリカフェ」での経験がその後、通所している作業所でのイベントでもおおいに活きたそうだ
ドリンク担当の他、お客さまの来店時の声がけを担当。「ミライヅクリカフェ」での経験がその後、通所している作業所でのイベントでもおおいに活きたそうだ
いずれのメニューもワンプレートディッシュになっており、盛り付けが崩れないように配膳。筆者のテーブルにも彼がサービスしてくれたのだがきれいに運んできてくれた
いずれのメニューもワンプレートディッシュになっており、盛り付けが崩れないように配膳。筆者のテーブルにも彼がサービスしてくれたのだがきれいに運んできてくれた
メニューの注文に加え、お水がセルフサービスである旨をお客さまに伝えることも、サービススタッフの仕事としてプログラムに組み込まれていた
メニューの注文に加え、お水がセルフサービスである旨をお客さまに伝えることも、サービススタッフの仕事としてプログラムに組み込まれていた
お給料を貰って、感極まった子も。中にはその経験から、「働くことでお給料がもらえる」という社会の構図が理解できた子もいたという
お給料を貰って、感極まった子も。中にはその経験から、「働くことでお給料がもらえる」という社会の構図が理解できた子もいたという
Ocean‘s Loveでは、知的がい児・発達障がい児の小学1年生~高校生3年生までを対象にしたサーフィンスクールを、神奈川県茅ケ崎を中心に開催している
Ocean‘s Loveでは、知的がい児・発達障がい児の小学1年生~高校生3年生までを対象にしたサーフィンスクールを、神奈川県茅ケ崎を中心に開催している

担当:毛利愼 ✉mohri@ohtapub.co.jp
 
 

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