森本 HRS はホテル・レストランにおける接客サービス技能の向上や技能者の社会的、経済的地位の確立を図るとともに、国際化の中で国民に対するテーブルマナーの普及指導に努め、国際観光および社会文化の発展に寄与することを目的に設立されました。設立に導いたのは当時、宴会の神様の異名を持つホテルオークラ東京の橋本保雄氏です。1985 年(昭和60)年、まさに日本のホテルが活気づいているころでした。いち早く変化をつかみホテル業界が成長し続けていくことを目指していらっしゃいましたので、橋本氏の声がけに賛同し設立、初代会長には藤田観光の谷澤 一氏が就任しました。以後、国家検定試験「レストランサービス技能検定」の実施や、料飲接客サービスの技術・技能向上のための研修会や見学会、西洋料理テーブルマナー講師や日本料理食卓作法講師、中国料理食卓作法講師の認定に関する事業、出版物・広報誌の発行などを行なっています。
福永 いち早く国家資格制度を導入されたのですね。それだけにホテルやレストランにおける接客サービスの向上は、世界に視野を広げていくためにも国として欠かせないことだったことがうかがえます。現在、資格取得者はどのくらいいらっしゃるのですか。森本 全体でのべ3 万人です。資格は1 級から3 級までありますので、1 級が約2500 人、約2 万5000 人が2 級、3 級を合わせた人数となります。協会設立後の1986(昭和61)年~ 2001(平成13)年の16 年間は協会認定の資格でした。この間に累計1 万4000 人を数え、合格者によりサービス水準の向上が図られました。この実績が評価され2002(平成14)年より厚生労働大臣の指定試験機関の認定を受け、国家資格として位置づけられたのです。
福永 まさに協会活動に関わられた先人たち、そしてホテル・レストラン業に勤められていらっしゃる皆様の向上心やサービス業に対する熱い思いがあったからこそ、国家資格まで成長させることができたのですね。ところが最近はホテル業もしかりですが、特にサービス業を求めている若者が減少しています。世間の休日に最も忙しく働かなくてはならないこと、過酷な労働や低賃金など、さまざまな情報に影響されて、ホテル・レストラン業に対する魅力やあこがれが薄れています。
第101 回
Wプロフェッショナルズ「求められる人材を探る」 第101 回 一般社団法人 日本ホテル・レストランサービス技能協会(HRS) 会長 森本 昌憲 氏 × ㈱フェイス 福永 有利子 氏
井の中の蛙大海を知らず! 企業や人材を成長させていくための情報は外にあり
【月刊HOTERES 2017年12月号】
2017年12月01日(金)