「ダイコン」
ダイコン
アブラナ科ダイコン属
地中海地方、中央アジア
すずしろ(蘿蔔・清白)
Raphanus sativus(学名)Japanese radish(英)
歴史と特徴
各地に根付いた地方品種が多く存在し、日本における品種数は世界で最も多いと言われています。栽培の歴史は古く紀元前2200年ころエジプトでピラミッド建設に従事していた労働者たちが食べていたという記録が残っており、日本国内で世界のダイコンの9割を生産・消費しています。日本には弥生時代に稲作と共に中国より伝わり、多くの地方品種が生まれたのは江戸時代・参勤交代で都市と地方の交流が活発になってからとも言われています。日本人の食の歴史の中でダイコンほど幅広く日常的に食されてきた野菜は類を見ません。古事記に出てくるほどにその歴史は古く、「日本書紀」には於朋根(おおね)と記載され、平安時代には「すずしろ」として春の七草に数えられ、最も古くから親しまれている野菜の一つです。先人たちは食料に乏しい時代にも漬物や乾物に加工したダイコンを蓄え大事に食し、およそ1300 年という歳月を経た現在でも日本の食卓に欠かせない定番野菜として愛されています。築地市場の前身は魚介が日本橋魚河岸、野菜が京橋大根河岸で、関係者は「だいこがし」と呼んでいました。大根の入荷が多いことに由来しての名ですが、昭和初期までの東京は道路事情が悪く物流は専ら水路。冬になると10 本まとめにした大量のダイコンが舟から下され、まるで大根の花が咲いたようだったことから大根河岸と言われたそうです。胃腸を助け消化を良くしてくれる働きがあり、食べてもあたらないということから「役者として当たらない」とかけて下手な役者を「大根役者」と呼ぶようになったとか。