「安心感」とは、顧客が感じる認知レベルでの議論となり、その感じるレベルに応じて連想する感情に変化が生じることになります。そしてその結果、「安心感」の高低というレベルに応じた概念的な階層が生じ、「サクラクオリティ」では、それら「安心感」のレベルに応じた品質認証を提供する仕組みを採用しているのです。
具体的に、弊社が調査したアンケート調査結果をご紹介しましょう(全国男女400 名に対するインターネットアンケート調査)。調査では、「安心感」のレベルに応じて連想するであろう概念として「清潔感」、「快適性」、「顧客配慮」、「サービスの積極性・共感性」を仮に設け、それら概念間の関連性を調べてみました。その結果が以下の概念図となります。
この概念図は、アンケート調査結果をまとめたものです。一例で「清潔感」に関する調査結果を見てみますと、「高い清潔感」を感じると、どのような感情を抱くかを調べたものであり、「快適性」を感じるという回答者割合が35.5%、「安心感」を感じるという回答者割合が13.3%、「顧客配慮」を感じるという回答者割合が14.3%、「積極性・共感性」を感じるという回答者割合が4%という結果でした。上記概念図は、同様に「快適性」については、「高い快適性」、「顧客配慮」については「高い顧客配慮」、「安心感」については「高い安心感」、「積極性・共感性」については、「高いレベルでの積極性・共感性」を感じた場合に、それぞれどのような感情を抱くかを、ほかの概念との関係として整理したものです。例えば、ある概念A と概念B との関係で、B が高い場合にA を連想する以上にA が高いレベルの場合にB を連想する関係であれば、A がB の連想を誘発する、つまり階層上、下層部に当たる関係を示していると考えることができます。
上記の図は相手概念との関係で、連想する比率が相手概念より上回っているものを、青の網掛けおよび矢印線として表現してあります。それら関係をさらに整理すると以下の通りとなります。
「清潔感」について、「高い清潔感」を感じると、ほかのすべての概念に対して比率が上回っています。一方で、「安心感」については、「清潔感」以外「快適性」、「顧客配慮」で比率が上回り、「快適性」では「顧客配慮」で上回っています。つまり、「清潔感」を基礎に、「高い清潔感」があれば次いで「安心感」を、また「高い安心感」は「快適性(居心地のよさ)」を感じさせる傾向があるという関係がうかがえます。またこの序列の中で、「高い積極性・共感性」については、上記三つの「安心感」、「快適性」、「顧客配慮」で比率がそれらより勝っていますが、「高い快適性」から連想されるのが「積極性・共感性」ではなく、「顧客配慮」の関係となっていることから、「清潔感」からはじまる感情の連想の中で「顧客配慮」のさらに最上位の概念であるものと考えられます。さらに、最上位概念である「積極性・共感性」について、「高いレベルでの積極性・共感性」を感じた場合には、改めて「安心感」、「快適性」、「顧客配慮」を強く意識するという結果であり、単にボトムアップで安心感のレベルの変化に応じて感情に変化が生じる階層があるだけではなく、それらは、相互に関係しあっており、上層概念になれば、その下層概念に対しても、強く感じさせ、下層概念の感情も併せて強化されるという関係を有しています。
「サクラクオリティ」では、「安心感」をベースとした概念的な階層として、サクラ数により整理したものであり、「安全性」を担保した上で、総合的かつ包括的に「安心感」を階層として表現した品質認証プログラムなのです。世界で見られる多くのホテル格付けが、1 スターから5 スターに対して個別に与えられた定義に沿って序列化されたものである一方で、今こそ重要な視点とはそれらとは異なり、「安心感」こそが、高度な接遇力につながる非常に重要な概念であり、「安心感」に関する品質認証を徹底して行なうことで、顧客に対する情報源のみならず、人の命をあずかる宿泊業として、運営上非常に重要な視点ともなるのです。