二子玉川エクセルホテル東急 総支配人 橋本 好美 氏
私が後継者に求める資質、今後この会社を牽引していくリーダーには三つの資質が必要だと考えます。
まずは、変化への対応力です。目まぐるしく変化していくホテル業界において、宿泊部門のみならず、料飲部門においても予約ルートのWEB 化は加速します。
CS 対応については、利用者のクチコミが即座に反映され、一方的な言い分であっても拡散してしまうリスクがある中、良いホテルだと実感されれば、予約増の強力な武器になります。
ES 対応については、少子化により労働力の確保が厳しくなり、また既存スタッフの囲い込みのためには労働環境の整備等も進むでしょう。
コンプライアンスについては、顧客情報の管理や、正しい業務処理の実施が当然に求められ、ますます重要視されていく。
現状に的確に対応していくのはもちろんのこと、先を読み、先手を打って仕掛けていく能力が必要なのです。
次には、問題解決力。ホテル業はお客様の所得層、国籍もさまざまであり、利用目的や、ホテルの使い方もいろいろです。クレームマニュアルを作るには、明確な前例がないこともしばしばあり、常に新たな問題に対して、きちんとした対応が求められます。
また、先々のフォーキャストに対して、予算との大きな乖離がある場合は、あらゆる施策を実施しなければなりませんが、問題意識に欠けているリーダーには、打てる施策の数が明らかに少ない。
問題解決力を強化するには、成功例、失敗例も含めて、日ごろより社内外の多くのサンプルに目を通すことと、いざというときのフォーメーション、戦略を常に頭の中に描いておくしかありません。新たな問題に対処するには、自分のこれまでの経験値だけではデータ不足で、真にベストな解決は導き出せないでしょう。
三つ目にチャレンジ精神、熱いハートを持つことが重要です。この仕事は、本当に楽しく、ユニークでかけがえのない仕事だと思います。人から直接感謝の言葉をいただける仕事であり、一生忘れられない人生の大切な記念日を作る仕事でもあります。
ホテル業は最も古くからの産業の一つであり、過去には業界全体が苦しい時代もありましたが、今後も決してなくなることはない、有望な業種です。バジェット型からラグジュアリーまで、ホテルはさまざまに進化を遂げていくでしょう。
リーダーは誰よりも、自分のホテル、自分の担当する仕事において、熱い気持ちを抱き、スタッフに伝染させていくぐらいでなければならないと思います。優しいだけではなく、時には厳しくリードしていきましょう。
自分のホテルは勢いのあるホテルでなければならないし、リーダーはその伝道師であるべきなのです。
ホテル業を生涯の仕事として選んだ限りは、皆さんに総支配人を目指してほしいと思います。
これからの10 年はホテル業がますます面白くなる時代となるでしょう。
冷静な頭で、先々の戦略を持って考え、熱いハートでスピーディーに動く、こういうリーダーになることを、自分自身も心掛けたいし、後輩にも期待したいと思います。
二子玉川エクセルホテル東急
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