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第26回 五十嵐 茂樹  Business Revitalization 事業再生を科学する! 

第26回 Labor cost №1 レイバーコスト №1

【月刊HOTERES 2017年11月号】
2017年10月31日(火)
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レイバーコストは複合的

 レイバーコストは、複合的な要因が絡み合って存在しています。そこには、賃金テーブルやPA(パートアルバイト)の時給体系、それに、社会保険や年金制度、さらには、退職金制度や各種福利厚生制度等があります。しかし、これらの賃金テーブルや各種制度を見直すことで、人不足対策も同時に行なってゆかなくてはなりません。これでこそ、本当の人件費対策になってきます。だから対策も複合的になり、それらの相乗効果によって人件費は改善されることになります。では、基本的な施策について説明します。

⑴ PA の戦力化(固定人件費を変動人件費に)
 まだまだ、人件費が固定費に近い店やホテルが多くあります。この固定人件費を変動人件費にできれば、大きな業績の改善に結びつきます。その一つが、PA(パートアルバイト)の戦力化を図ることで労働比率を変えることです。もちろん、質を落としては意味がありません。当然、質は維持、できれば高めながら人件費を変動化することです。そのために必要なのが現場での教育訓練力です。街場のレストランや郊外のレストランでは、このPA 比率がすでに90%を超える店も多く出ています。これは、人不足対策にもなり、社員の定員数の削減にもつながります。

⑵ オペレーションの見直し(多能工化)
 日々漫然と続けている営業ですが、そこには、旧態依然とした仕事のやり方が多く残っており、それが、人の効率化や省人化の妨げとなっています。そこを見直すことで、効率化と省人化を図ることができます。そのためには、今一度すべての仕事の流れと作業を棚卸する必要があります。それは、4 人でできる仕事を5 人でやっている、ひどい所になると6 人でやっている状態です。そんな旧態依然の仕事のやり方です。そこで必要になってくるのが、オペレーションの見直し、つまり、分業とチームワークの見直しです。これは、どの店にもまだまだ問題点があります。つまり改善の余地がたくさんあるということです。このオペレーションの見直しによって、生産性の向上と質の向上も図れます。それは、一人一人の仕事のスキルアップであり、多能工化でもあります。人の数でレイバーコストは変わります。また、人の力量でもレイバーコストは大きく変わってきます。

⑶ 営業時間や店休日の見直し
 営業時間や店休日を設定することで、レイバーコストも大きく変わります。中でも、人不足による時間外手当や休日出勤手当は年々膨らんできています。何より、その過酷な労働によって生まれるパフォーマンスでは、お客さまの満足も感動も得ることはありません。そして、大切な人に辞められることになります。そうすると、弱い戦力でさらに多くの人を入れなくてはならなくなります。レイバーコストには、そんな複合的な要因があるのです。

⑷ 稼働計画と作業割り当て(W/S)
 日々の営業が、正しいF&B コストと正しいレイバーコストで運営されることは大切です。それは、お客さまの満足と感動を得ること、そして、結果としての収益を残すことにつながるからです。そのために必要なことが稼働計画と作業割り当てです。これによって、ムダ・ムラ・ムリのない、レーバーコストができるようになります。ここについては、次回詳しく説明します。

⑸ 各種制度の構築
 その他のレイバーコストとして、①教育制度(社内教育と社外教育)の導入があります。それは、人のスキルアップが人件費の改善に大きくつながるからです。そのためには、現場のO・J・T と連動する形での本部のOff・J・T や社外研修も大切になります。次に②給与制度(賃金テーブルに責任と報酬、それに、成果と報酬)の見直しが必要です。長く続けて働いてもらうことがレイバーコストにつながります。それは、一人一人の力量がアップし、さらに、多くの仕事も覚えてもらえるからです。そのためにも待遇改善を図りながら、やる気を高め、そして、長く働き続けてもらう必要があります。その他にも

 ③人事制度(キャリアパスやPA 人事、それに生涯現役制度)の構築や休日制度(残業と休日出勤、連続休暇や有給休暇)の改善と推進等を図ってゆかなくてはなりません。サービス残業にサービス出勤が当たり前の業界であったかもしれませんが、これからは通用しません。もちろん、新しい人も来てくれません。さらには、店やホテルもやってゆけなくなってきます。人の問題と人の定着と戦力化は、すべてが絡み合って存在しています。だからレイバーコストには多岐にわたった取り組みが必要になります。そして、それらの相乗効果によって人がたまり、人が増え、レイバーコストが安定してくるのです。

 大変難しい問題ですが、意識を変え、仕組みを変え、そして、人を育て、人を増やすことでしか、レイバーコストはできないのです。

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