世界各国でAI の研究や開発が進められ、言語の理解や推論、問題解決などの知的行動や知的な情報処理システムの設計など人間に代わって行われるようになってきた。
目に見えるカタチとしてロボットがさまざまな場面で活躍できる時代となった。その様な中、甲南大学が開発した2 体のロボットがしゃべくり漫才で掛け合う「漫才ロボット」が登場、メディアや医学会からも注目されている。
その立役者である灘本明代教授に理系学生の特性と社会人として送り出すための人材育成などをお聞きした。
福永 2 体のロボットが掛け合い即興漫才をする「漫才ロボット」を開発され、ユニークな試みは多くのメディアに取り上げられました。
何とも言えない間合いや目の表情はほのぼのとした癒し感があり、思わず笑いがこぼれてしまいますね。
今回は理系学生の特性と社会に出るための人材育成についてお聞きできればと思いますが、初めに灘本研究室で取り組まれている内容をお聞かせください。
灘本 本研究室ではWeb に関わるさまざまな研究を行なっています。
具体的にはGoogle やYahoo! にない新しい機能を持つ検索システムの研究やWeb やTwitter からの感情抽出に関する研究、SNS やレビュー等の分析に基づくさまざまな情報抽出(データマイニング)に関する研究やWeb ニュースから漫才台本を自動生成する研究などです。
「漫才ロボット」はお題をキーワードとして入力すると、インターネットから与えたお題に関するWeb ニュース記事を取得し、人工知能の技術を使って「つかみ」「本ネタ」「オチ」の3 段論法で作成されるというものです。
2 体のロボットは「あいちゃん」と「ゴン太」と言い、あいちゃんがツッコミ役、ゴン太がボケ役となり目の表情もさまざまに変化させながら漫才台本を読み上げていくというものです。
昨年、キッズフェスティバルに展示したところ、近寄って目の部分をスワイプしている子どもたちの行動を見て、改めて時代は変わっていることを実感した次第です。先日、がん治療に笑いが効果的であるという実証実験の1つとして、大阪国際がんセンターでがん患者を対象に披露したところ、大笑いとまではいきませんでしたが、微笑みを浮かべる方が多くいらっしゃいました。
まだまだ開発途中ですが、さまざまな分野で「漫才ロボット」が活躍できるようこれからも研究を進めていきます。
福永 最近はホテル業界でもロボットによるオペレーションなども開発されています。
しかし、まだまだ人がロボットをコミュニケーションの対象とするには抵抗感があります。
ロボットに「こ・ん・に・ち・わ」と声を掛けられると、なぜか人がロボットの言い方に合わせて「こ・ん・に・ち・わ」と答えています。
ロボットに併せた会話ではなく人間同士の日常会話のように円滑にできるようになるためにはまだまだ時間がかかると思いますが、「漫才ロボット」が掛け合い、日常的なネタを即興で漫才に仕上げることでロボットでありながらも自然に親しみを感じられるようになりますね。
ところで灘本教授に生徒さんのコミュニケーション力についてお伺いしたいのですが、日ごろ、生徒さんとの交流の中でどのように感じていらっしゃいますか。