観光地として高い知名度を誇りながらも、宿泊地としては選ばれにくい街は少なくない。中華街やみなとみらいを有する横浜も、そうした側面を抱える都市のひとつだ。決して宿泊施設が少ないわけではない。それでも長年この傾向が続いてきた背景には、国内旅行者にとっても海外からの旅行者にとっても、東京都心から至近距離にあり、日帰りで完結しやすい立地環境があると指摘されている。
しかし横浜には、都心近接という利便性だけでは語りきれない歴史や文化、そしてエキゾチズム溢れる魅力がある。文明開化とともに港町として歩んできた街並み、日本最大の中華街、ハマカジやコンサバといったカルチャーが今も息づく元町。さらに、現代的な都市景観が広がるみなとみらいから山下ふ頭へと連なる港景観まで、滞在することで見えてくる横浜の表情は多彩だ。中でも、港に朝日が差し込むひとときは、滞在してこそ味わえる、刹那的でプライスレスな時間だ。
そんな横浜の中でも、歴史の余韻を残しつつ、現代的都市景観が入り混じる馬車道エリアに、星野リゾートが初の全室アパートメントタイプとなる「OMO5横浜馬車道 by 星野リゾート」を開業した。
施設エントランス。施設全体が豪華客船をオマージュしたデザインになっており、さまざまなところにクルーズをイメージさせる意匠が施されている。24時間、さまざまな横浜の景色を望める360°回遊式の“OMOベース”には、シアタールームやビリヤードなども備わる。‟OMO”ブランドでおなじみの“Go-KINJYO MAP”には、馬車道をはじめとした横浜港エリアの名店が多く紹介されている。
同施設はみなとみらい線馬車道駅に直結し、地上154mの高さに位置する。46階のパブリックスペース“OMOベース”は回廊式で、横浜の街並みを360°一望できる設計だ。客室階も同様に回廊式となっており、各部屋からさまざまな横浜の顔を望むことができる仕様になっている。なお、46階は一般のお客さまも訪問可能(一部宿泊者限定エリアあり)で、ミシュラン3つ星シェフ、ヤコブ・ヤン・ボエルマのアジア初出店となる「SMAAK」などの飲食店も入っていることから、新たな横浜名所が誕生したといっていいだろう。
エントランスエリアからの眺望。その他、山下公園や富士山を臨めるエリアなど、360°の回遊式ラウンジだからこそ、横浜の多彩な表情を楽しめる“OMOベース”。夕暮れから夜にかけて、鏡に光が浮かび上がる‟Night View Deck”にもぜひ足を運んでほしい
コンセプトは、空中ともいえるロケーションで“暮らすように滞在する”ホテルライフだ。そのコンセプトを体験してもらうべく用意された設備は、全室に質のよい民泊マッチングサービスでもここまでの種類が揃っていることはレアだといえるほど。さまざまな種類のキッチンウェアに加え、家庭用冷蔵庫、電子レンジ、ネスプレッソが完備されている。洗濯機は‟Miele“のドラム式を採用した客室も用意されているなど、設備面のこだわりが感じられる(※客室により洗濯機メーカーは異なる)。こうした贅沢な設備もあってか施設1階に隣接するスーパーの利用率も高く、また、デリバリーサービスの受け入れにも対応しており、滞在スタイルの自由度を高めている。実際、ビジネス利用の中長期滞在だけでなく、館内でゆったり過ごす“おこもり需要”や、“横浜のタワマンライフ”体験を楽しむことを目的としたお客さまも増えつつあるという。
同社は本年4月に、横浜市旧市庁舎を活用した“レガシーホテル”として「OMO7横浜(おも) by 星野リゾート」の開業も予定しており、同施設とあわせて“横浜観光”を双方向で盛り上げつつ、お客さまの目的に応じた旅の選択肢を提案していく考えだ。国際的にも投資家やコンサルタントから観光地としての潜在力が高く評価される横浜に、星野リゾートがどのような化学変化をもたらすのか。今後の展開に注目したい。
「OMO5横浜馬車道(おも) by 星野リゾート」
https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/omo5yokohamabashamichi/








取材・執筆 毛利愼 ✉mohri@ohtapub.co.jp




