今回は福島県の県庁所在地、福島市を取り上げる。同市は県内の行政・ビジネスの中心地であり、宮城方面、山形方面に分岐する交通の要衝でもある。福島県は東北で宮城県に次ぐ人口規模の県だが、多極構造であることから、中心都市といっても福島市は他県とは様相が異なっている。以下に福島市のマーケットと福島県の観光マーケットをみていこう。
1. マーケットポテンシャル
福島市の位置する福島県は東北南端の都市であり、北は東北最大の人口集中地域である宮城県と接し、南は関東に接するため、これらの地域の影響を強く受けている。また、県域が東西に広いことも特徴で、西部の山脈に挟まれた会津、中央部の中通り、東部の太平洋沿岸の浜通りに地域が分かれている。これらの地域は元々別の県であり、1876 年に3 県(若松県、福島県、磐前県)の合併によって現在の福島県になっている。
そのため、福島県の都市構造は県庁所在地である福島市への一極集中は見られず、多極構造になっていることが特徴である。北部の福島市、中部の郡山市、南部のいわき市と三つの中心都市が存在し、それぞれが機能を分担している。その中で福島市は中通りの北端に位置し、福島県の行政機能・業務機能が集中する都市となっている。
福島市の人口は27 万744 人(2023年1 月1 日現在)で、福島県全体の14.9%のシェアを占める。郡山市が31万7486 人、いわき市が31万890人となっており、福島市は県庁所在地であるものの、人口規模においてはこれらの都市に劣後している状況である。(図表1)
過去5 年間の増加率(23 年/ 18 年)は▲ 3.8%と減少トレンドになっている。その他の県内主要都市も全てマイナストレンドだが、その中でも本宮市は▲ 2.2%、郡山市は▲ 2.5%、須賀川市は▲ 3.3%で、福島市を含めたこれらの都市は県内において比較的減少幅が小さいと言える。
福島市の年齢構造を見ると、若年人口比率は16.0%。適齢期人口比率は19.5 % で、共に全国値(16.7 %、20.9%)を下回っている。若年人口比率では須賀川市が17.8%、本宮市が17.6%、郡山市が17.1%、白河市・相馬市が16.7%と全国レベル以上であり、これらの都市に比較的若いマーケットが存在する。適齢期人口比率は郡山市が21.3%で、県内で唯一全国平均を上回っている。それに次いで本宮市が20.3%、白河市が19.5%、須賀川市が19.2%、相馬市が18.9%で、県内では比較的高いレベルになっている。(図表2)
高齢者比率は30.6%であり、全国値(28.7%)をやや上回っている。郡山市が27.1%、本宮市が28.4%で全国値を下回っている他、須賀川市も28.7%で全国レベルになっている。これらの都市では高齢化が比較的緩やかと言える。
将来推計人口をみると福島市はすでに減少フェーズに突入しており、2045年ごろには2015 年ベースから26%程度減少すると推計されている。その他の県内主要都市も同様にすでに減少トレンドに突入しており、将来的に2015年ベースの20 ~ 50%程度減少する。
いわき市は単体での推計がないため比較ができないが、将来的にも中心都市の人口の優位性は変わらないと考えられる。(図表3)
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