今回は宮城県第2 の都市、石巻市を取り上げる。交易都市として栄えてきた経緯があり、県北部の中心都市である。世界三大漁場にも数えられる豊かな漁場を有し、牡蠣の養殖業も盛んで、国内でも有数の水産都市となっている。以下に石巻市のマーケットと宮城県の観光マーケットの詳細をみていこう。仙台市と宮城県のマクロマーケットは仙台市編を参照していただきたい。
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石巻市は宮城県の北東部に位置している。2005 年の広域合併により市域を拡大、市の南~東部は太平洋に面しており、東部は女川町を除く牡鹿半島が含まれる。牡鹿半島には複雑な地形のリアス式海岸が広がっている。
仙台市までのアクセスを見ると、鉄道ではJR 仙石線石巻駅から約1 時間20分で仙台駅、道路では三陸縦貫自動車道石巻河南IC から約1 時間で仙台港北IC と、仙台都心部までアクセスしやすい場所に位置している。仙石線の他、美里町や女川町まで延びる石巻線、登米市まで延びる気仙沼線が乗り入れている。また、青森県十和田市まで延びる国道45 号や秋田県由利本荘市まで延びる国道108 号、398 号などがあり、
広域交通が発達している。
石巻市の都市勢圏は、東松島市、涌谷町、女川町を含む2 市2 町(石巻市含む)から形成されており、周辺の約20㎞圏をカバーしている。商圏が小さくなっている要因として、市南部は海に面し、北部は山間部に阻まれていることがある。また、宮城県の大半の都市が仙台市の影響を強く受けており、石巻市周辺の都市からも仙台市に流入している影響がある。石巻市への就業・通学流入率をみると東松島市から30.0%、女川町から18.2%、涌谷町から9.0%となっている。石巻市の自市内就業率は80.2%。
石巻市の商業ポテンシャルをみると、商業拠点性指数(※ 1)は1.02 で、消費の流入と流出が拮抗している状況である。石巻市は駅前商業よりも郊外ロードサイド商業が発展しており、「イオンモール石巻(店舗面積3 万3686㎡)」などが位置している。
1. マーケットポテンシャル
石巻市は人口13 万6822 人(2023年1 月1 日現在)を有し、宮城県全体の6.1%を占めている。宮城県内では仙台市に次ぐ人口規模だが、106 万7486人を有する仙台市とは大きく差が開いている。その他の県内北部都市を見ると、大崎市が12 万5444 人で、石巻市とこの2 市が仙台市を除くと県内で人口10 万人以上を有する都市であり、北部の中心都市となっている。(図表1)
過去5年間の増加率(2023 年/ 18年)を見ると、石巻市は▲ 6.4%の減少である。その他の県内北部都市を見ると、全ての都市でマイナストレンドとなっている。その中で仙台市に近い東松島市や美里町、大崎市は比較的減少幅が小さい。
石巻市の年齢構造を見ると、若年人口比率は14.9%、適齢期人口比率は18.4%で、若年人口比率、適齢期人口比率ともに全国値(16.7%、20.9%)を下回っている。その他の県内北部都市を見ると、若年人口比率は色麻町が17.4%で最も高く、次いで東松山市が17.3%と、この2 都市が全国値を上回っている。適齢期人口比率は全ての都市で全国値を下回っているが、その中で東松島市が20.3%、女川町が20.1%で比較的高い比率となっている。(図表2)
高齢者比率を見ると、石巻市は33.7%であり、全国値(28.7%)を大きく上回っている。その他の県内北部都市を見ると全ての都市で全国値を上回っており、30%台後半が多く、北部エリア全体として高齢化が深刻な状況となっていることがわかる。将来推計人口をみると石巻市はすでに減少フェーズに突入しており、2045年ごろには15 年ベースから40%程度減少すると推計された。その他の県内北部都市を見ると、将来的には15年ベースの25%~ 50%程度減少すると予測され、都市によってその様相は異なってくると言える。石巻市の減少速度は速く、将来的には大崎市と人口ランクが入れ替わる可能性がある。(図表3、4)
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2024年10月号 観光・ブライダルマーケットエリアデータファイル 《石巻市編》
観光・ブライダルマーケットエリアデータファイル 《石巻市編》
【月刊HOTERES 2024年10月号】
2024年10月15日(火)