本コラムは、FBを題材にして、様々な視点からどのような可能性があるのかを考えてみます。
知らず知らずのうちに、業界のナラティブに染まっていないだろうか、新しいヒントはどこにあるのか。
そうした内省の機会の一役を買えれば幸いです。
他者と…
マーケティング。マーケティングとは何かを問われると、回答はまちまちかもしれないが、多くの人がマーケティングを勉強したいと思っている。書店でも専門書から新書まで幅広くマーケティングに関する本が販売されている。マーケティングと一口に言っても、データサイエンスに近いものから、社会的なソーシャル・マーケティングまで広く存在している。
組織開発。こちらも根強い需要がある。特に日本では「人口減少」により多くの業界で人手不足が嘆かれている。潜在的な労働力として労働参加が可能な人々を考えると、多様な働き方を許容していくことが求められる。組織開発の第一人者である中原氏の著書『組織開発の探究』(中原・中村2018)の冒頭にこんな節がある。
社会の変化に伴い、企業もコミュニケーションの仕方が変わってくる。それは、テレビとSNSという2つをデモグラフィック属性から鑑みても分かることだと思う。それに付随して、企業だけでなく、その企業が保有する製品群もまた、その影響を受ける。「大きいことはいいことだ」や「ほしいものが、ほしいわ。」など広告にもその時代の色が反映されている。
SDGsはわかりやすい。製品自体を見直す事で考えるきっかけになるからだ。しかし、その他の社会的な変化についてはどうだろうか?存外、自身と関わりの薄い事柄は、なかなか目にしたり考えたりする切っ掛けが少ないのではないだろうか。インバウンド増加はそうした契機とも捉えられるかもしれない。
先日、東京レインボープライド2023が代々木公園で開催された。外資系を中心に様々な企業がブースを構えていたが、旅行業やFB関連企業はまだ少ない様に感じた。LGBTQに限らず、例えばヴィーガン向けの案内やハラル対応などを行っている企業や店舗も増えているとはいえ、まだまだスタンダートとは言いにくい状況のように感じる。
無理やり取ってつける必要はないが、ひょっとすると自社の製品って欠けてる部分があるのではないだろうか?という他者を慮る気持ちが重要だと思う。マーケティングにしろ、組織開発にしろ根底にはそうしたことが求められるのだと思う。どうしても手っ取り早く「売れてる・流行している手法やノウハウ」に目が移りがちな今日、自分を顧みてと他者を考えることが、打開への近道になるかもしれない。
当日のSKYYブースの様子
東京レインボープライド2023 酒類メーカ出展の様子
SKYYは、多様性あふれる街サンフランシスコ発祥のブランドだ。「多様性ある生き方が認められる社会」のさらなる実現を目指し、さまざまな活動に取り組んでいる。
【参考文献】
中原淳・中村和彦(2018)『組織開発の探究 理論に学び、実践に活かす』ダイヤモンド社
宇田川元一(2019)『他者と働く──「わかりあえなさ」から始める組織論』ニューズピックス
担当:小川