今回は大分県の県庁所在地、大分市を取り上げる。同市は大分県の行政、商業の中心地であり、経済活動において東九州地域(大分県、宮崎県)の拠点都市となっている。大分臨海工業地帯が位置し、工業都市として発展した経緯もある。大分県は温泉地の多い観光地として全国区の知名度がある。以下に大分市のマーケットポテンシャルと大分県の観光マーケットを見ていこう。
1.マーケットポテンシャル
大分市の人口は 47万 5953人(2019年)で、大分県内の人口シェア 41.5%と、県内で最も多い人口を有している。その他の県内主要都市を見ると別府市が 11万 3,624人で、この 2市が県内において人口 10万人以上を有している都市である。大分市と別府市では人口の開きが30万人以上あり、マーケットは大分市に一極集中していることがわかる。それ以降は中津市が 8万 2948人、佐伯市が7万 1389人、日田市が 6万 5419人、宇佐市が 5万 5813人となっている。(図表1)
増加率(19年/ 14年)を見ると大分市は 0.0%でほぼ横ばいの状態となっている。その他の県内主要都市を見ると全て減少トレンドとなっており、特に津久見市が▲ 10.4%、竹田市が▲ 9.9%、国東市が▲9.5%、豊後大野市が▲8.3%と、主に県南部における人口減少が顕著である。
大分市の年齢構造を見ると若年人口比率は 19.1%、適齢期人口比率は22.8%となり、若年人口比率、適齢期人口比率ともに全国レベル(若年人口比率 17.4%、適齢期人口比率22.3%)を上回った。その他の県内主要都市を見ると若年人口比率は中津市が 18.4%で、大分市と中津市のみが全国レベルを上回っている。適齢期人口比率は大分市が唯一全国レベルを上回っている状態で、それ以外は全て全国レベルを下回っている。その中にあって別府市が 21.4%、中津市が 21.0%、由布市が 20.4%であり、観光などの産業が盛んな都市では比較的比率が高い。高齢者人口比率(65歳以上人口比率)をみると大分市(24.7%)以外全国レベル(26.6%)を大きく上回っている都市が多いことがわかる。大分市に人口が集中した結果、大分市以外の県内都市において高齢化が進展する状態になっている。(図表2)
将来推計人口を見ると大分市は 2020年ごろまでは 2010年ベースを維持できていたが、以降は減少フェーズに突入している。2040年ごろには 2010年ベースから約 8%程度減少すると推計されている。地方都市としては比較的人口規模維持できると考えられる。その他の県内主要都市を見ると全て減少フェーズに突入しており、将来的に 2010年ベースの 55%〜80%程度になると思われる。佐伯市は減少幅が大きいため、将来的に日田市との人口の差がほぼ変わらなくなる。
また、由布市は他都市と比較して人口減少のペースが緩やかであり、将来的に臼杵市、豊後大野市と同等の人口ボリュームとなると推計されている。今後も大分市の一極集中には変化はないが、高齢化が進展しているため、大分県全体のマーケットポテンシャルは低下傾向にあると言える。(図表3)
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2021年8月6・13日号 観光・ブライダルマーケットエリアデータファイル 《大分市編》
2021年8月6・13日号 観光・ブライダルマーケットエリアデータファイル 《大分市編》
【月刊HOTERES 2021年08月号】
2021年08月11日(水)