重要なのは「上げすぎない経営」によって
期待以上のお客さま満足を生み出すこと
フェリーチェの基本的な考え方として、適正価格による客室の提供がある。「レベニューマネージメントはもちろん行なうのですが、『上げすぎない経営』が重要だと私は考えています。海外からのお客さまは、ホテルの値段は星の数に比例していると思っている方が多い。高めの価格設定を見て5 ツ星クラスだと思い予約してみたら、期待したほどのサービスが受けられなかったというケースもあるでしょう。反対にリーズナブルなので期待せず予約したのに、泊まってみたらすごく良かったというプラスのギャップを私たちは生み出していきたいのです」
インバウンドの利用が高いリリーフプレミアムでは、以前のブランドホテルでは導入していなかったCNNj の放送を客室のテレビチャンネルに加えた。その理由について大森氏は、ニュース番組としてCNNが世界のスタンダードになっていることを挙げる。「仕事で海外を訪れたとき、私はホテルのフィットネスジムを利用します。そしてほとんどの場合、ジム内に設置されたテレビに流れているのはCNN です。CNN にはニュース番組のスタンダードとしての安定感があり、誰もが安心感を持ってみることができるのだと思います」
グローバルスタンダードとなっているCNN がみられないとなれば、海外から訪れたお客さまの多くは「どうしてCNNがないのだろう」と疑問を抱くかもしれない。その不自然さを生み出さないためにも、リリーフプレミアムには必然的にCNNj が導入されることになった。最新の市場ニーズに対応し、ホテルのブランド価値をさらに高めるためにも、情報発信ツールをアップデートしておく必要がある。
独自性をしっかりと持ちながら
最先端を取り入れていきたい
新たにリリーフプレミアムの客室に導入されたのが、多言語対応のタブレット。英語、中国語にはじまり、タイ語、スペイン語などさまざまな国の言語でインフォメーションを提供できるツールの存在は、タブレットの操作に慣れているミレニアル世代の旅行者を中心に抵抗感なく受け入れられている。さらにお客さまは、照明やエアコンの制御、オーダリングシステムの利用、ホテル内施設の混雑状況やシャトルバスの発着時間の確認などについても一つのタブレットで行なうことができる。
フェリーチェは今年3 月、赤坂に「ホテルフェリーチェ」をオープンする。さらに9 月に上野、11 月に赤坂、12 月から2019 年1 月に神田と浅草橋に、新ブランド「ICI(イチ)ホテル」を開業する計画を進めている。ICIホテルではコネクティングルームも数部屋設置することで、より幅広いインバウンドニーズに応えていく構えだ。これらすべての新店舗にはCNNj やタブレットが導入され、世界からお客さまをお迎えするホテルに求められるクオリティーを備えていくことになる。
既に具体的に計画進行中の案件が開業すれば、フェリーチェが手掛けるホテルは全13 店舗となる。さらに長期的なビジョンとして、2027 年までに30 店舗のホテルを開業することを目標として掲げている。その中には株主であるセントラルグループの本拠地、タイでの構想も含まれている。
フェリーチェは「独自性をしっかりと持ちながら最先端を取り入れていきたい」という思いを持って取り組んでいる。世界各国から訪れる旅行者のニーズの変化が加速する中、時代を先読みしたサービスを提供することで、これからもフェリーチェのホテルブランドは成長と拡大を続けていくことになる。
レポート ㈱フェリーチェ × ㈱日本ケーブルテレビジョン(JCTV)
世界のお客さまに安心感を与えるために スタンダードなコンテンツを十分に備える
【月刊HOTERES 2018年03月号】
2018年03月26日(月)