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第十二回 『とんがりホテル コンセプトが斬新な魅力宿』 第十二回「The Hotel Seiryu Kyoto Kiyomizu」(ザ・ホテル青龍 京都清水)広瀬康則総支配人

『記憶を刻み、未来へつなぐ』ホテル

【週刊ホテルレストラン2020年09月18日号】
2020年09月17日(木)
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 宿泊産業の競争が激化し、ゲストのニーズが多様化しているいま、ホテルのマーケティングに求められている戦略のひとつは、とんがりをつくることである。とんがりで差別化し、そのとんがりに関心のあるゲストが集まる。本連載では、そんなコンセプトが際立ったホテルや宿泊施設を厳選して紹介し、それを支える秘訣を紐解いていく。担当するのは、立教大学観光学部で宿泊ビジネスを学ぶ学生。学生のピュアな目に、日本のホテルはどう映り、どう表現されるのか。
 取材・執筆/立教大学観光学部 津川晴奈、浦恵子 監修/宿屋大学 代表 近藤寛和
 


 2020年3月に開業した「The Hotel Seiryu Kyoto Kiyomizu(ザ・ホテル青龍 京都清水)」(以下、ホテル青龍)は、元・小学校。明治2年に地元の方々が、暮らすエリアの子供達の将来を考えて、自分たちでお金を出して作った下京第二十七番組小学校である。開発したのはNTT都市開発(株)。UDホスピタリティマネジメント(株)が経営し、(株)プリンスホテルに運営を託した。土地はNTT都市開発(株)が京都市から借り、建物自体は地元の自治体の方々から譲り受けてホテルにコンバージョンした。
 
「『記憶を刻み、未来へつなぐ』というコンセプトは、京都の昔からの歴史の中でいいものは残して、その記憶を継承しながら我々が次の新しいものに作り変えていかなければいけないということ。それが一番の命題だ」
 
 広瀬康則総支配人はこう語る。このホテルに込められた想いを伺った。

 

小学校からホテルにする段階で地元の方からの『こういうところを残して欲しい』という要望や強いこだわりはありましたか?


 京都市から、前提として「外観はそのまま残して欲しい」と言われました。
 例えば、タイルは一度全部外して綺麗にしました。意匠はそのまま、使えるものは使って、使えない部分は同じように焼く。施工には大変苦労されていましたね。小学校だった当時の児童さんが彫刻刀で彫った跡などもそのまま残っています。
 
 この場所と建物は、閉校になった後も地元の方々のコミュニケーションの場として使われ、盆踊りやゲートボール、町内会の集まりなどが校庭で行われていたそうです。ですので、ホテルになった今でも、エントランス部分や緑の芝生は一般の方など、どなたでも入っていただけるようにしています。このエリアには昔から住んでいる方が多いため、我々は新参者なんです。完成時にOBの方々が訪れた際には「おかえりなさいませ」と言ってご案内しました。みなさん、小学校がそのまま残っているので喜んでいらっしゃいましたね。地元の方々との協力が重要です。遠方から宿泊に来られたお客さまには、エリアの魅力を感じていただき、そのなかでホテルの魅力を発見していただくという形を取らないと、ホテルだけを宣伝して売っても来ていただけない。「地元なしではホテルの存在は成り立たない」ということは、昔から感じていました。もともと私の中でも地元の方々との繋がりは大切にしていて、ましてこういうコンセプトでこういう場所だからこそ、より一層強く感じています。
 
 地元もひっくるめてエリア全体でお客さまを受け入れたいです。宿泊のお客さまに地域のレストランやお土産物屋さんなどを紹介するなど、我々が地域とつながることで地域とお客さまが繋がる。これを目指していますね。
 
 このエリアには門前を守ってきた地元の方々の意識があります。寺・坂・我が家といって、これには、お寺を中心としてこのエリアを我々は誇りに思っているという意味が込められているそうです。

 

卒業生のほかにインバウンドも意識しているとのことですが、どの層をターゲットとしていますか?


 プリンスホテルの強みは国内のお客さまのデータベースです。今は『ザ・ホテル青龍 京都清水』という名前が表に知られていない。それを海外にどう売るかを考えたときに、まずは国内へのアピールをしっかりしてネームバリューをあげてブランディングしていきながら、海外の方にも訪れていただきたいと考えています。
 
 今年の3月22日の開業後、コロナ禍の影響で、桜の季節やお祭りが続く予定が何もなくなってしまいましたが、国内のお客さまの来訪者がたくさんいらっしゃることを改めて感じました。
 
 国内でのターゲットはシニアの富裕層です。若い方が京都にきて朝から晩までぎっしり観光して帰ってきて寝るだけではなく、ゆっくりと1日を過ごすような京都のリピーターの方をターゲットにしたいと思っています。京都のリピーターというのはかなり多いのですが、いつもどこに泊まっているのかを聞くと「知っている顔がいないからどこでもいい。毎回違う場所に泊まる」と言われました。時間がある程度ある方はホテルのスタッフとの会話を好まれます。お話をして繋がって「また顔見にくるね」を目指したいです。
 
 48室しかないことからも、管理でも予約でもいいから、スタッフみんなでお客さまを受け入れるようにしています。リッツカールトンに行くと、手が空いている人が対応してくれます。裏からでも出て来て誰かが対応してくださる。それが印象に残っていまして、「ホテル全体で受け入れしてくださっている」と感じ、このホテルでもそうしたいと思いました。いかにお客さまと密になり、パーソナルサービスにどこまでこだわれるかというのが我々の目指しているところです。

 

京都にある同じ価格帯のホテルの中から選ばれるためにどのように差別化していますか?


 京都にあるラグジュアリーホテルのなかで、「純日本」の考え方を持っているスタッフがいるホテルは他にはあまりないのではないでしょうか。ホテルをご利用のお客さまは、そこに安心感を覚えてくださるようです。
 
 それと、意外と京都の方で「京都にいながら京都で贅沢したい」といって泊まりに来られる方も多くいらっしゃいます。旅館でも普通のホテルでもなく、かつ眺めがよいということで選んでいただけているのだと思います。ハード面とロケーションにはだいぶ助けられていますね。そこからソフト面での魅力づくりを担うのが我々だと思っています。
 
 あとは、昭和8年に建築された当時ではまだ珍しい近代建築様式のため、どこかで京都にいることを感じられるくらいでいいと考えています。周りのホテルは京都らしさを押し出していますので、そこで競争しても意味がありませんので。

 

このホテルをどういう存在にしていきたいですか?


「京都=ザ・ホテル青龍 京都清水」というように、皆さまに認識してもらえるようなホテルです。京都に溶け込んで、京都の方々にも認知され、安心感を持ってもらえたら、そこからの信用は大きい。京都のなかで信用していただけるホテルを目指していきたいですね。
 

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