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2020年7月17日号 トップインタビュー (株)ナインアワーズ 代表取締役 Founder 油井 啓祐 氏

トップインタビュー (株)ナインアワーズ 代表取締役 Founder 油井 啓祐 氏

【月刊HOTERES 2020年07月号】
2020年07月15日(水)
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---新型コロナウイルスの影響を教えてください。

コロナ禍前の稼働は平均90%以上でしたが、急激に減り10%を切るほどになったタイミングで休業を決めました。稼働以上にスタッフの健康が心配でした。大事なスタッフを感染リスクにさらすわけにはいかないなと思い、4 月の頭から段階的に休業していき、4 月中には全店休業しました。

休業中のスタッフには一定の休業補償を支払っていますが、希望者には別途副業を紹介していました。取引先である玉の肌石鹸さんのところに石鹸は大増産で大変なので希望者を送りました。彼らはお店で使われているアメニティがどのようにできているのかも学ぶ機会になって、非常に良かったと思っています。

私のなかで、いくつかトピックになっていることがあります。その一つはビジネスホテルが「軽症患者を受け入れる」というニュースがあったことをみなさん覚えていると思いますが、その同じ日に私は都庁に行っていたんです。店舗を休業にするのであれば医療関係者に無料で使っていただこうということで都庁に言いに行きました。うちみたいな宿泊形態は個室ではなく隔離されているわけではないという意味で、コロナに感染していない人につかっていただいたほうがよいのではないかと。サウナでも入ってリフレッシュしていただければと思ったのです。結果的には実現しませんでしたが、その時に、「コロナ感染に対して自分たちに何ができるのか」というのを考えました。それでコロナ対策を真剣に考えはじめました。

 

ハイジーンプロジェクトを立ち上げ

---それでハイジーンを研究されたのですね。今までは「親切」「清潔」「あいさつ」といったバリューを掲げていましたが、そこに「ハイジーン(衛生管理)の徹底」を加えたと聞きました。

はい、この機会に、衛生管理をどこよりも高い水準にしなければと思い立って「9h ハイジーンプロジェクト」を立ち上げたんです。ホテルの衛生管理をしてくれるコンサル会社も見つからず、クルーズ船のコロナ対策に対応した陸上自衛隊にも当たり前ですが断られ、まだ世界で誰もノウハウを確立していない領域であると感じ、自社の環境やサービスに合わせ独自に研究を始めました。化学、物理、行動経済学の三つ切り口で三班に分けて。化学班は「chemical(ケミカル)」です。防疫の薬品で最適なものを探り、その使い方や掃除の手順などを研究しました。もともと床材は清掃のしやすさを考えて選定してきたので、毎日建物の床全面を界面活性剤で除菌します。物理班は、カプセルの中をUV で照射しようというものです。254nmの波長のUV が圧倒的な殺菌力があることがわかり、UV 照射装置を造作し空間を消毒します。それを施せば拭き掃除不要です。ホテル業界では防疫のために清掃時間が倍増しているという問題があるようですが、この方法ですと清掃の効率化にもつながっています。7 月1日から全店舗で実施する予定です。

行動経済学の研究は、接客オペレーションに関してです。弊社のスタッフが完全な対応をしたとしても、こと感染防止に関してはお客さんにも理解をしていただかないとダメなんですね。「スタッフと同じ頻度で手を洗って下さい」。あるいは「水回りや共有スペースでは、あとの人のことを考えて今まで以上にキレイに使ってください」とお願いをします。

---コロナ収束後もオンラインコミュニケーションが定着し、人々の動きが変わっていくだろと言われています。それについては、どのようなことを考えていますか。

旅をしたり、直接人に会ったりというのは人間の原点というか、強烈な欲求であり、その欲求に根差したものというのはそう簡単に崩れないと思うんです。例えば、オンラインミーティングは便利だということが分かりましたが、それで宿泊や集いが減ることはあったとしても、完全に人に会うことがなくなるということはないですし、旅をするということ自体がなくなるというのはありえない。それを心配するよりも、自分たちの中にあるものを磨きに磨くことのほうがよっぽど大事だと思っています。この自粛期間の二か月間は自分たちが持っていないものを新たに求めて横に拡張するのではなく、既に内包しているものを磨きに磨くことが大事だと思っていました。世の中の変化にアジャストするというよりは、自分たちの機能をもっと研ぎ澄ませる必要があるのではないか思っていますし、これは今後も変わらないと思います。

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