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寄稿 北村剛史 

宿泊施設における新型コロナウイルス対応ガイドラインとその運用

2020年05月28日(木)
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図表1:宿泊施設に対する安心感に関しまして、「ブランド知名度が低い、あるいはブランドメッセージがない施設を使用する場合を想定し」、安全性の徹底や清潔感に関する取り組みが事前説明されている場合、安心して滞在できると思いますか。

 
ガイドラインに法的拘束力はなく、
あくまで指針や指標
 
 ここで重要な点は、2 カ所、「ガイドライン」であること、そして「終息までの対策」であることです。
ガイドラインとは、法的な拘束力はなく、指針や指標を明示するものです。その中に消毒等に関連する詳細なプロセスを明示するマニュアル的要素、あるいはミスなく正確に実施するための手順書的要素は含まれていません。したがって、例えばですが、消毒作業に際して使用する布はどのような素材が望ましいのか、あるいは医療現場で使用されているような使い捨て素材を使用すべきなのか、布はどの頻度で交換するのか、1 カ所清拭消毒後はもう交換が必要なのか、使用済み布は専用容器や袋でどのように管理しておくべきなのか、スタッフは清掃時どのような点に留意し、どの順序で行うべきなのか、その際の換気は2 方向換気を行う場合と行わない場合で効果は異なるのか、消毒液は次亜塩素酸、アルコール、塩化ベンザルコリウムでそれぞれ一長一短及び使用が望ましい箇所があるのか、そしてそれらの配合が必要なケースはどのような場合か、ウイルスに効果がある薬剤と微生物のみに効果がある薬剤とは等に留意しつつ実際に実践運用するにはマニュアルと手順書の準備が必要となります。
上記公表資料は「ガイドライン」ですので、「施設の規模や業態等を勘案し、各施設の実情に合わせた対策を講じることとする」との記載があるとおり、具体的なマニュアル、手順書等はそれぞれ工夫して検討することになります。
 
 一方で上記記載内容からも明白ですが、正確な知識を必要としており、高度な専門分野であることから、各施設でマニュアル化あるいは手順書を作成して適切に運用するというのは容易なことではありません。顧客に対する徹底した感染対策を講じること、またそれと同様にスタッフの安全を確保すること、実際に新たに組織運用に乗せていく必要があり効率的で効果的な作業にするための留意点等の準備が必要となります。
 
これからの顧客ニーズを図るうえでの
客室消毒処理に関するアンケート
 
 現在、DMO 等との共同プログラムである宿泊施設品質認証制度「サクラクオリティ」では、「A Clean Practice」として安全管理プログラムを進めています。同プログラムの目的はあくまで自主的プログラムとして展開するもので、それ自体は品質認証ではありません。今回その準備と展開を急いだ理由には、顧客ニーズが大きく変化した可能性が高く、市場回復時に備えた取り組みとして急いで体制を構築していただく必要があると判断したためです。以下、弊協会が実施したアンケート調査をご紹介します。
 
 新型コロナウイルス感染症が収束したとしても、この見えない敵に対する恐怖心は局地的なものではなく全世界規模で人々の心に刻まれたはずであり、新たなウイルスが発現する恐怖やウイルスが変化し長期にわたって存続する可能性等を考えますと、その脅威は人々の価値観にも強い影響を与えるものと考えられます。具体的には、顧客が求める宿泊施設の「品質」について「これまで求められた品質」とパンデミック宣言後「今後求められる品質」との間に大きな変化が生じている可能性があります。客室消毒処理に関する弊社が実施したアンケート調査結果をご紹介したいと思います(全国男女1000 名に対するインターネットアンケート調査、2020 年4 月弊協会調べ)。


図表2:宿泊施設に対する安心感に関しまして、「ブランド知名度が高い施設を使用する場合を想定し」、安全性の徹底や清潔感に関する取り組みが事前説明されている場合、安心して滞在できると思いますか。

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