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2020年2月7日号 新しい視点「ホテルの価値」向上理論 ホテルのシステム思考

第385回 宿泊施設のテーマパーク性

【月刊HOTERES 2020年02月号】
2020年02月06日(木)
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テーマパークの顧客利用実態

 以前の調査では、いくつかのテーマパークをピックアップし、それぞれについて、行ったことのあるテーマパークはどれかという調査を行ないました。その結果は、ディズニーランド(以下ディズニーシーも含む)がやはり強く、調査対象とした 1000名のうち約 80%の人が行ったことがあると答えています(※ただし、首都圏(全体の約 36%)の回答者数が多かったことも影響している可能性があります)。そのほかでは、「富士急ハイランド」が約40%、「ユニバーサルスタジオ」が 37%、長崎ハウステンボスが28%という結果でした。
 


 ディズニーランドのシェアの高さが際立っていましたが、では何度訪れたことがあるかを調査してみますと、ディズニーランドに行ったことがある人のうち、1回だけという人は全体の 17%弱で、ほとんどの人(83%以上)が、複数回訪れており、最も多い回答が 8回以上というもので、全体の約 29%を占めていました(分からない(=数えきれないを含む)という回答も4%ありました)。
 

ディズニーランド(ディズニーシーを含む)の強さ

 特にディズニーランドでは、全体の約 80%の人が経験ありと答えており、またその内、複数回という人が、なんと83%(1回は 17%弱)に及ぶのです。これは一体何を意味しているのでしょう。注目すべきなのは「これほど多くの人が」というより、「これほど何度も訪れている」というリピート性です。さらにディズニーランドに対する質問を続けました。今後また行きたいかという質問で、その結果、「是非また行きたい」という回答が約 38%で、「是非行きたい」と、「行きたい」の合計が約 64%に及んでいました。すでに複数回訪れているのですが、また行きたいという回答が見られます。

 顧客側に積極的に楽しもうとする姿勢があるからこそ、これほど多くのリピーターを獲得しているのでしょう。では何が、顧客をそれほどまでに惹ひきつけているのでしょう。
一つには、「楽しい」という「感情」の影響が挙げられます。人が「好き」や「嫌い」という態度を表現しようとする場合には、その背後にはその際の「感情」が強く影響を与えています。ディズニーランドでは、一緒にいるお子さんが楽しむ姿を見て、あるいは素直に自身が「楽しい」と強く感じることが、ポジティブな態度へと導き、結果的に多くのリピーターを獲得しているように考えることができます。

 ここでまず、滞在時間を考えてみましょう。テーマパークでは、よっぽど規模が大きい、終始楽しめる壮大なパーク以外は、1日で十分と考えられます。宿泊施設でも同様です。仮にテーマパーク性を帯びるような高級ホテル、高級旅館があったとしても、2泊は不要で、1泊で十分であり、連泊はよっぽど特別な理由がない限りは、期待することが難しいと考えられます。ここで所在地が地方都市でできれば 2泊以上を獲得したいと考える場合には、宿泊施設の魅力だけでは難しいとも言えます。地域と一体となり、地域の豊富な食文化をアピールすること、また地域内で安全で魅力的なアクティビティーを豊富に用意してはじめて複数泊が期待できるはずです。また、ポジティブ感情が強烈であればあるほど、好意的な態度につながる結果、多くのリピーターにつながるはずです。したがって、宿泊施設の提供機能、提供サービスやチェックインからチェックアウトを通じて、滞在体験の中で多くのポジティブ感情を用意しておく必要があります。テーマパークでは、「楽しい」などかもしれませんが、宿泊施設の場合は、「新たな発見」、「圧倒的な心地よさ」、「心身ともに安心してリラックスできる質感、サービスコーディネート」等がポジティブ感情へ作用する結果、一層多くのリピーターにつながるような顧客の「態度」を形成していくのかもしれません。

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