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第170回 フェイス 福永 有利子 氏 × ロジエ 長谷川 沙織 氏  Wプロフェッショナルズ 

“怒る者の身になってみぃ!”と言いたくなるほど、試行錯誤の人材育成経験

【月刊HOTERES 2019年07月号】
2019年07月05日(金)
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福永 素晴らしいご縁で、またこれまでとは違う生活を作り上げていらっしゃるのですね。ところでシェフやサービスなど人材の採用や教育、管理はどのようにされていらっしゃるのですか。
 
長谷川 スタッフ採用の面接はなるべく自分がするようにしています。
 大切にしていることは“清潔感”です。見た目の清潔感はもちろんですが、腕利きのシェフのキッチンはとてもキレイですよね。またシェフやバーテンダーなどある意味“変人”であって良いと思います。何かほかの人にはないこだわりを持ち、そこに専念していくことが結果的にお客さまにご満足いただけるお料理やサービスを提供できるのと考えています。まさに周りは変人ばかりですが、これは褒め言葉と受け止めてください(笑)育成については良いところを伸ばしていくよう心掛けています。苦手なことを克服する努力はもちろん大切ですが、良いところを見出すことにより何倍も大きく成長します。この10年間、人材採用や育成の難しさを感じながら試行錯誤の連続であり、これからも経営者としてやり続けていかなければならない永遠の課題だと思います。
 
福永 採用や育成の難しさは、どこでもよく耳にしますが、怒られることに慣れていない人は、ちょっとした一言で傷ついてしまったり、すぐに辞めてしまったりする傾向にあるようです。
 
長谷川 はい、なので最近は怒ると言うことはほとんどありません。以前は成長してほしいと思っているからこそ叱っていましたが、今は注意しなければならないことを伝えると言う感じでしょうか。やりがいを持ってもらおうと思って休みを与え、研修費の負担もしたりしましたが、結果的には辞めてしまう人もいました。またどんなに一生懸命に向き合っても“彼氏や友達に言われたから辞めます”というパティシエもいました。失敗が多く食材をムダにしてしまう、高価なお皿やグラスを割るなど、経営する者にとってがっかりすることが多すぎて、どのようにして育成すべきか指導すべきか悩みます。
 
福永 ホテルやウエディングも同様です。
この仕事は多くの人が休んでいる土日や祝祭日、大型連休などが繁忙期となります。時間帯も夜遅くなったり、ホテルは24 時間体制であることも面接のときにきちんと伝えているのですが、そのときには“大丈夫です”と応えても、いざ、職場につくと皆が休んでいるときに、休めないことに不満を感じたり、我慢できなくなったりして、辞めていく人もいます。始めから伝えていても“思っていた仕事とちがった”という言い訳を口にします。もちろん、皆と一緒に休みたいという気持ちは分かりますが、それ以上にさまざまなことを学ぶことができ、自身の成長につながったり、他では味わえない達成感が味わえたりなど、ほかの職業にはない魅力に気がついてほしいですね。
 
長谷川 人手不足の現在、シェフと2人でフレンチレストランの運営を行なっている日も多くありますので、お互いにとって働きやすい環境を保つことが大切です。
 
開業してから数年、人材育成に注力してきましたが、ここは一呼吸おいて、レストランそのものの方向性も再構築する中で採用、育成に取り組むときでなないかと考えています。ときには“社長がサービスしているの?”と驚かれることもありますが、私自身も現場でさまざまな経験をさせていただくことにより成長できる、ちょうど良い機会であり、実際にお客さまと接することで、その関係も一層強くすることができています。
 
福永 職場の人間関係はとても大切なことですね。さまざまな理由を並べてホテルやウエディングの道を断念している次世代が増えつつありますが、よくよく聞くと、職場の人間関係がうまくいかず辞めていることが、専門学校の調査で分かりました。せっかく、あこがれて手にした職業だからこそ、もっと職場内の上司や先輩、同僚がお互いに助け合い、成長させていける環境を作らなければ状況はますます悪化することでしょう。最後に今後の展開についてお聞かせください。
 
長谷川 流行りのものに飛びつきすぐに終わると言うタイプの形態では無く、古き良きものを残し、少しずつ進化しながら大人が楽しめるものを提供できればと思っております。すでに何組からの受注実績もありますが、今後ますます少人数ウエディングが増えてくると予測する中、少人数ウエディングにも今まで以上に取り組んでいきます。高砂席を設定して24 人様までは可能ですので、アットホームにお食事とともに楽しんでいただければと思います。まずはきちんとお客さまと向き合えることを大切に、レストラン、バー、クルーズともにファン作りをしていくことが大切だと考えています。大阪は万博やIR など集客力という点でまだまだチャンスがあります。リバークルーズも国内外の多くの方にぜひ体験いただき、水の都大阪の街を楽しんで欲しいですね。
 
福永 専業主婦からレストラン経営者に転進され、10 年目という節目の年を迎えられたことは長谷川社長の熱意と努力の賜物です。これからも自身の経験で培ったことを大切に、長谷川社長のますますのご活躍を、お祈りしております。本日はありがとうございました。
 

㈱ロジエ 代表取締役 
長谷川 沙織 氏

1963年(昭和38年)生まれ
2010年 カルトブランシュオープン
2012年 BAR BANKS(バーバンクス)オープン
2013年 株式会社ロジエ設立
2016年 ロジエクルーズサービス大阪中之島を開始
現在に至る

㈱フェイス 代表取締役 
福永 有利子 氏 

レストラン・ゲストハウスのウエディングプランナーから各現場の管理職としてマネジメントを担い、確実に業績を伸ばしてきた。2003年にウエディングプランナー養成スクール講師を始め、2006年から2015年まで大学にて非常勤講師として教壇に立つ。2006年堂島ホテル婚礼部長、2008年同ホテル副総支配人。2009年に㈱フェイスを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。
 
現在は、全国のホテルやゲストハウスにて成約率向上を目的としたトレーニングや、集客戦略立案・実践支援などのコンサルティングに加え、会場のビジュアル改善や各種販促ツールの制作など、ウエディング事業の収益改善に向けた業務支援を幅広く行なっている。また、現役ウエディングプランナーの人材育成や専門学校生やウエディング業界への転職希望者などを対象としたスクールも開講。今後は、ウエディング業界を超えて、ホテル・ホスピタリティ業界にて、人材育成マネジメントを広く担っていく。2018年4月から神戸国際大学客員教授。2019 年4 月から神戸女学院大学 非常勤講師。
著書:『ウエディングプランナーじゃない、アカンのは上司や! 悩める管理職のアメムチ19の育成術』

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