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インタビュー デービッド ブーレイ 

日本の伝統食材に出会い、新たな気付きを得る  それらを活かし食と健康、食と科学の結びつきを啓蒙していきたい(前編)

【月刊HOTERES 2019年06月号】
2019年06月14日(金)
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食と健康を考える
新しいコミュニティー構築を目指す
 
❒ 食を通じた健康の重要性を提示されています。どんな取り組みをされているのですか。

 
 最近、世界的にちょっとビジーになりすぎている気がします。混こんとん沌とした日常生活の中で、健康について考える余裕がないといった状況ではないでしょうか。特に、若い世代においては深刻な問題です。私は、米国やヨーロッパ諸国において、若者がかつてないほど多くの健康問題に直面しているのを目の当たりにしてきました。ここで細かい話をするのは差し控えますが、そうした状況を目にしたことも、私が何らか人々の健康に役立つ仕事をしたいと思うようになったきっかけの一つと言えます。
 
 実は、私たちは間違ったことをしていることもあります。例えば、フランスのフレンチシェフがグルテンフリーをうたっていますが、その一方でタピオカ粉、コーンスターチ、米粉といった高炭水化物を多く使用するため、結果的に糖質が上がってしまうといったようなことがあります。今や、世界規模で糖分の過剰摂取という問題に直面していると言っても良いでしょう。
 
 健康維持のためにグルテンフリー食を追求しながら、実際には過剰な糖質摂取で健康を害していたとすれば、全く意味がありません。こういった考え方は改める必要があります。
シェフも、そして産業界もこの問題についてしっかりと考えないと、状況は悪化するばかりです。私は、数字を並べることではなく、教育によって業界改革につながるソリューションを提供しなくてはいけないと考えています。
 
その一環として「ブーレー・アット・ホーム」という名のレストランプロジェクトをスタートさせました。これは新しい「ブーレー」の店舗なのですが、写真をご覧になったことがあるでしょうか。ドイツの老舗家庭用キッチンメーカーが、キッチンの設計を担当しました。
まるで自宅のキッチンのように、両手が届く範囲のコンパクトさですが、大変美しくデザインされています。
まるで、日本のすし店のカウンター席のように、お客さまがシェフの調理の様子を間近に見ることができます。
米国のレストランでは、一般的にお客さまと厨房との間に仕切りがあったり、もしくは多くの設備が置かれており、シェフがキッチンの中でどのように調理しているのかをお客さまが目にすることはできません。
 
でも、「ブーレー・アット・ホーム」では、シェフがお客さまの目の前で会話をしながら調理をしますから、お客さまご自身が自宅でクッキングする際のイメージを膨らませることができます。さらには、より健康的な食について理解を深めていけます。私が目指すのは、このようなアプローチで食と健康を考える新しいコミュニティーの構築です。
「シェフ&ドクター」シリーズのようなテレビ番組でも、この場を活用し、皆さんに私たちの取り組みをご紹介していけるでしょう。
 
 
❒ どんな切り口をお考えですか。
 
 私は三つの要素に基づいて、既成概念の壁を取り払いたいと考えています。
一つ目は「食と科学」です。といっても、商業的なものではありません。二つ目は「料理文化」、フランスで「ガストロノミー」と呼ばれる文化と料理の関係の考察を指します。三つ目は「ミステリー」で、なぜ特定地域の食べ物がとても健康的で、しかもおいしく感じるのかという謎の解明です。
 
目下、これらをまとめ、皆さんと共有するために『リビング・パントリー』と題した本を執筆しています。多くの人がレトルトのような長期保存可能食品を食べるべきではないと言いたいですね。
私はこの本の中で、皆さんがまるでシェフのように、自宅でリビング・パントリーを作ることができるよう伝授したいと思っています。「ブーレー」を再々オープンしてから約2年が経過しました。私がビル全体を所有し、テナントも入れ、そして自身も同じビルの上層階に暮らしています。本の執筆を開始してからも同じ期間が経過しましたが、店での新たな気づきもあり、内容を大幅に進化させたため、進捗が遅れています。それでも1 年以内には何とか完成する見通しです。
 

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