本当の幸福感を体験するカマラヤ
 
相馬　働いている方がとてもやさしく、トゲトゲしさがないと感じるのはそのせいなのでしょうか？ さまざまな研修センターがあり、従業員が助け合って家族のように働いていると、先ほどのウエルネスセンターのレセプショニストが教えてくれました。
 
ジョン　ここはリハビリセンターでもないし、断食道場でもありません。人の細胞が変わるのに8 週間はかかりますので、ここに滞在している間に、体重が減りましたよ、とか、ウエストが細くなりましたよ、というようなことはしません。

最初のセッションで看護師と担当のメデイカルコーデイネーターがいろいろとサジェスチョンはしますが、最後にまた体重を測るようなことはしないのです。

ここで身に着けた身体に良いことを、国に戻っても一つでも二つでも実践するということが大事なのです。
先週、ここのリピーターのお客さまが、お酒がやめられない、という友人を連れて7 日間滞在されていました。最初のうちは、お酒が飲めずに相当イライラしていたようですが、タイのムエタイという格闘技のクラスをとるうちに、このムエタイに魅せられたようなんです。

お酒をやめなくては、という気持ちは、このムエタイに出会ったことですっかり収まり、オーストラリアにもどってからも1 週間お酒を飲んでいない、というメールが先ほど入りました。

お酒や食生活、ゲームなど、やめようと思っても なかなか難しいと感じる人たちがいるのですが、何かスイッチが別のところに入ったことによって、すんなりやめられることも多いのです。
 
相馬　ここにきて私は今日で4 日目なのですが、身体がとても軽くエネルギーも高い気がします。だるさがないというか。
 
ジョン　自然素材の食事をし、あまりデジタル機器に触れず、というのは普段の生活の中ではなかなかできないことも多いのですが、メデイテーションを朝ほんの少しするだけで、一日の出だしがとても素晴らしいものになったりすることもあります。
メデイテーションの時間は最低5 分とか、いろいろという人がいるかもしれませんが、1分だけだっていいのです。

要するに今の社会はあまりにも形が作られすぎてしまい、そのような型に押し込めようというようなハウツー本なども出ていたりしますが、しょせん人間が考えたこと。ここでみんなが目覚めるのは、ひとりひとり違うということを実感することや、満たされた気持ちになったときに、他の人にも同じように手を差し伸べることができるということなのです。

カマラヤの滞在は他のリゾートホテルと比べて決して安いものではないと思います。でも、リーダーとなるような人たちがここで滞在をしてくれることによって、自分を制すること、自分が幸せになること、そしてその幸せを他の人に分け与えることができる、という幸福感を体験してもらいたいと思っているのです。
お金だけがほしいのであれば、ヒマラヤの骨董や芸術の目利きができる私は、他の道があったかと思います。でも、16 歳でヒマラヤ仏教に魅せられ、22 歳から僧侶となったのも何か私がやるべきことがあって導かれたのかもしれません。

カマラヤで私に与えられたミッションを粛々と行いながらも、いつかこのようなメソッドを他の国でも行なうことができたら、もっと広がりができるのではないかと思っています。