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週刊ホテルレストラン 編集長 岩本 大輝

「まだ名前のないホテル」が楽しみな理由

2019年02月07日(木)
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「久々に、本当に楽しみなホテルプロジェクトですね」


  私は、知人の、あるホテルコンサルタントに言った。
  彼は、大手デベロッパーの手がけるホテルから、地方の小さなホテルや旅館まで、幅広い施設をサポートをしている。それだけ、さまざまな企業を見ているとも言える。


「岩本さん、そうなんですよ。私はさまざまなデベロッパーや、ホテル会社とお付き合いをさせていただいていますが、三井不動産が『人の三井』と言われるように、特に人が強みで、人を大切にする文化があると感じています。
 子会社の三井ガーデンホテルズでは、昔の景気が悪かった時代でも教育など人への投資を決してやめることはありませんでした。それだけ人の大切さを考えているのだと思います。
 そして、お会いする三井不動産の皆さんも、彼らの方がお客さまであるにもかかわらず、私たちへの対応がいつも丁寧で紳士的です。
 さまざまな接点を通じて、まさに『人の三井』の、本当に素晴らしい文化を持った会社だと感じています。
 その三井不動産さんが、創業者である三井家ゆかりの地で、しかも、自分たちのブランドで、ラグジュアリーホテルをやるというのですから、楽しみですよね」



 最近は、「外資系ホテル」とか、「ラグジュアリーホテル」といったホテルの開業計画のニュースを聞くだけで心が踊るようなことはまずない。そういったニュースを聞きすぎているせいもあるかもしれないが、たとえラグジュアリーホテルであっても、結局ホテルは “誰がやるのか” で大きく異なるのを感じているからだ。同じブランドでも、オーナーが誰かでホテル設備への投資も大きく違うし、私のようなホテルをいくつも見すぎた目線で見れば、オーナーの姿勢は、最終的にそのホテルのスタッフのサービスなど、隅々にまであらわれると感じている。


 結局、ホテルは “誰がやるのか” が重要だ。


 だからこそ、今回の三井不動産が、自社の直営で、ラグジュアリーホテルをやろうというプロジェクトが楽しみでならない。なぜなら、先のコンサルタントの言葉の通り、三井不動産は “人” に重きを置き、そして、何よりもこれまで素晴らしい姿勢で、さまざまなホテルを、さまざまな関わり方でつくり続けてきたからだ。


 同社の100%子会社である三井不動産ホテルマネジメント(三井ガーデンホテル、三井ガーデンホテルプレミア、ホテル ザ セレスティンブランドを展開)では、景気の善し悪しにかかわらずスタッフトレーニングなどの投資を続けてきた。さらに、同社で年に一度開催される接客コンテスト「全力応対コンテスト」は、全国から出場スタッフだけでなく、応援スタッフも駆けつけるという多大なエネルギーとコストをかけて行なわれる同社の一大行事だ。しかも、エントリーする各ホテルが、出場者の応援ビデオを清掃スタッフも巻き込んでホテル一丸となって作成するなど、例えるなら「学園祭」状態。これらはほんの一例だが、ほかのホテルチェーンからすれば “無駄” と思われるようなことを、もう何年も継続して行っている。


 さらに、三井不動産はザ・リッツ・カールトン東京やマンダリンオリエンタル東京はビルのオーナーとして、アマネムはホテルオーナーとして、それぞれ素晴らしいホテルを手がけてきた。特にアマネムなどは、開業前には「あんな僻地でうまくいくわけがない」と冷ややかな声も少なくなかった。ところが、今ではラグジュアリーリゾートの大成功事例と言われている。


「ザ・リッツ・カールトン東京、そしてマンダリンオリエンタル東京勤務時に接点があった三井不動産の皆様のお人柄、謙虚さ、プロフェッショナリズム、仕事に対する姿勢の素晴らしさを肌で感じていました。 だからこそ、今回、三井不動産が京都で独自に作り上げるフラッグシップホテルのお話しをいただいた時は、とても興奮しましたね。このプロジェクトの下、チームを、そしてホテルを創りあげる。本当にホテルマン冥利につきます。幸せを感じますし、同時に多大なプレッシャーも感じています(笑)」


と語るのは、「(仮称)京都二条ホテルプロジェクト」の総支配人となる楠井 学氏だ。


 


本プロジェクトの総支配人に就任する楠井 学氏。楠井氏は、これまで数々のラグジュアリーホテルの要職を経験してきた。


 楠井氏はこれまでパークハイアット東京をキャリアの皮切りに、ザ・リッツ・カールトン東京の営業部長、フォーシーズンズホテル丸の内 東京のセールス&マーケティング部長、マンダリンオリエンタル東京の副総支配人 セールス&マーケティングなどを歴任してきたトップクラスのホテリエだ。そして、そんな彼も、そのキャリアの中でホテルのビルオーナーとしての三井不動産と接する中で、同社に惚れ込んだ一人だ。


 順序が前後してしまったが、今回の、楽しみなホテルプロジェクトというのは、2月7日に三井不動産が公表した「(仮称)京都二条ホテルプロジェクト」だ。ラグジュアリーホテルがホテル名を決める前にホテルプロジェクトを公表するのも珍しい。しかし、先に紹介をしたようにこれまで三井不動産がさまざまな形でかかわってきたホテルを見るに、対ゲストだけでなく、スタッフにとっても、素晴らしいホテルになるであろうということが想像できる。


 さらに、これが同社の創業家ゆかりの地であれば、その思い入れは並々ならぬものがあるだろう。同じ京都に居並ぶラグジュアリーホテルにひけをとらないどころか、三井不動産の実力を以てさらにその上を行くホテルになるのかもしれない。

 


「(仮称)京都二条ホテルプロジェクト」エントランス完成予想CG


 なぜそのように感じるのか?  最近、具体的にそれを感じたのは、同じく三井不動産が手がける「ハレクラニ沖縄」の総支配人である吉江 潤氏のインタビューの時だった。人材不足で採用環境が厳しい日本だが、特に沖縄はホテル開発も多く、それに輪をかけて厳しさを増している。それにもかかわらず、同ホテルの採用は順調に進んでいるという。
 その理由を総支配人となる吉江氏に尋ねると、同氏は嬉しそうにこう話した。


「(採用が順調なのは)幹部メンバーを早期に集めることができたのが要因ですが、その背景にはオーナーである三井不動産が厳しい採用環境が予想された沖縄において早期の活動などさまざまなサポートをしていただいた結果でもあります」(『週刊ホテルレストラン』 2019年1月4-11日合併号より)


 ホテルは、開業するまで売上はない。つまり、開業前の活動はコストにしかならない。しかし、三井不動産は人材の重要性を理解しているからこそ、通常のホテルよりも早期に活動を開始し、足下のコストをかけてでも、優秀な人材の確保に注力をする。「人の三井」だからこそなせることでもあるのだ。


 ここ数年、さまざまなホテルの開業計画が公表されている。その中でも、なぜ私が今回のプロジェクトに興味を感じるかというと、これまでの三井不動産の “実績” があるからにほかならない。
 まだ実現していない “未来” は、誰もが同じようなことを言える。しかし、綺麗な未来を描いておいて、それが絵に描いた餅になったホテルも数多く見てきた。それだけ、ホテルというのは、多くの人が関わる分、簡単ではないし、情熱がいるものなのだ。
 しかし、三井不動産にはさきに紹介をしたような、いくつもの “実績” がある。 “未来” を語るだけでなく、それを実現してきた “実績” があるのだ。彼らは、そこが違う。だからこそ、今回の「まだ名前のないホテル」ですらも、楽しみでならないのだ。


 ホテル名すら公表されていない「まだ名前のないホテル」。しかし、そこになぜ私が魅力を感じてしまうかと言えば、それは三井不動産がこれまでそうしたホテルを実際に手がけてきたからにほかならない。



「(仮称)京都二条ホテルプロジェクト」採用ページ
 https://www.recruit.nijo-hotelproject.com/

「(仮称)京都二条ホテルプロジェクト」紹介および採用告知動画


 

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