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第三十三講 「料理人の教育論」第三十三講 グランドパーク小樽  総料理長 堤 要人 氏 

日々の職場に小さな楽しみを 見出すことで、目に映る世界と感じ方はがらりと変化する

【月刊HOTERES 2018年12月号】
2018年12月28日(金)
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上に立つ者として、
重要な二つの要素とは
 
―理想の環境を求めながら、人材の成長につながる取り組みも総料理長としての役割となってくるかと思いますが、そのあたりはいかがでしょうか。
 
 お話の中で経験者が多いこと、個々が十分な能力を持っていることに触れましたが、フェアを行なう際、フェアの目玉を現場に考えてもらうことで、それぞれの専門性にさらに磨きをかけていってもらえるようにしています。

 食材選びは私がメインとなり行なっていますが、どのような料理へとアレンジされるのか、一料理人として個人的にも毎回楽しみにしている部分でもあります。次のステップとしては、この文化をどのように若手に落とし込んでいくかという課題があります。そこで今後はほかのグループホテルとの人材交流などによる、若手の成長促進につながる機会なども総支配人とともに検討していきたいと考えています。

 
 
―コンテストなど外部の機会利用はいかがでしょうか。
 
 地方にとっては貴重な外部との交流機会であるため、積極的な参加を推奨しています。そのための練習スペースや時間なども、勤務時間の中で取れるように調整を行なっています。実際に入賞・受賞のような成果が得られることもあり、個人のモチベーションアップ、社内への刺激が期待できる部分もあります。ほかに資格取得なども会社として後押ししています。専門性を持ちながらも、宴会が立て込む日は各店舗から応援を借りて調理を行なうため、幅広い対応力を養う意味で専門外の勉強も必要なことなのです。

 
―今後の目標や取り組みについてお聞かせください。
 
 総料理長としてホテルへ着任以来、さまざまな取り組みを行ない、試行錯誤、いいものは残し、思った通りの成果がでないものはやめるという具合でここまで来ました。その経験を踏まえ、上に立つ人間として重要なことが大きく二つあると今は感じています。
 
 一つは、ブレずに判断すること。どこの調理場であっても、現場は長の色に自然と染まるものです。ブレてしまうと「色」がボケる。それは、自分たちの提供する料理の味や姿が定まらないことを意味します。だからこそ、長はブレてはいけません。

 もう一つには、面白さを伝えること。明確な目標を持った人材が減少する傾向の中で、技術や仕事の段取りだけに重点を置いて伝えるのではなく、仕事のやりがいであったり魅力、さらに料理人だからこそ実現可能な可能性を、一人の経験者として言葉と態度で示す。それが人材不足に悩む職場、ひいては業界の人材定着へとつながっていきます。将来的にはこういったことを、総支配人や私など経営に関わる人間だけが意識し行なうのではなく、企業文化のレベルにまで昇華させていきたいと考えています。
 
―最後に、若手や業界へのメッセージをお願いいたします。
 
 ありきたりかもしれませんが、「お客さまの前に、まずは自分がハッピーであれ」と、特に若い方々にはお伝えしたいです。ただしプライベートではない職場において、ハッピーであるためには小さくとも仕事に楽しみが感じられなければなりません。そこで私たち上に立つ人間は、楽しさや働きやすさを感じる職場づくりに取り組んでいるわけですが、若手自らも与えられるのを待つだけではなく、仕事や職場を探求する意識と姿勢を持つことが大切です。年齢や役職の垣根を超えた互いの理解が、よい環境に出会う最初の一歩であると、私は思います。


ホテルらしさ、北海道らしさを兼ね備えた堤総料理長のおもてなし

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