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連載 19 レジャー産業研究会グループ8 ∞“Boys be ambitious”∞ ~少年よ、尽きることなく限ることなく大志を抱け~ 連載 19 流通経済大学 社会学部国際観光学科 教授 秋山 正人 氏

ホテルはホスピタリティ産業の最高峰という 自覚と日々の自己改革・改善を

【月刊HOTERES 2018年09月号】
2018年09月14日(金)
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▶実際、レジャー産業研究会に入会されていかがですか。
 
 正式に入会する前はビジターとしてセミナーやパネルディスカッションに参加していました。そのような機会を通じてホテル業の在り方や取引企業との関係や連携、ホテル産業としての経営手法などを客観的に実感することができました。レジャー産業研究会にはホテル業だけではなく建築や設計や旅行、システムなどさまざまな業種の方が参画していますので、多方面から情報を得ることで、俯瞰的に実務としてホテルにどのように反映させていくべきかを考察することができます。私は現在、監査役として副代表幹事を仰せつかっていますが、セミナーや施設見学など代表幹事はじめ、運営委員の皆さんの力により、魅力あふれた研修会が実施されていることに感謝しております。
 
▶ホテルはとても奥深く、知れば知るほどとても興味深い産業であり、都心に限らず地方都市においても観光振興にかかせない存在です。ところが人手不足はますます深刻な問題となってきました。
 
 対面サービスを軸としたホテル業において人手不足は深刻な問題です。今後、300 軒を超えるホテル計画が公表されています。外国人労働者やシルバー層を含めた人材確保や、サービスの一線におけるロボット(AI)導入も考えなければならないのかも知れません。ロボットは情報を得るほどに、ときとして人間の頭脳を超えるときもありますが、微妙な感情の変化をどのようにとらえ解析し言動として対応できるのかは未知数です。もしかしたら人間以上に沈着冷静に感情をとらえた対応ができるようになるかもしれませんが、受ける側として本当にロボットに対応してほしいかと言うと疑問です。“〇〇さま。いつもありがとうございます。お帰りなさいませ”という言葉はリピーターに対する顔認識により可能ですが、果たしてその言葉を発しているのがロボットだったらどうでしょうか。遊び感覚としては楽しいかも知れませんが、感情を持つ人間としてはきっとロボットに言われても感動しないような気がします。
 
▶ロボットに心を見透かされるように感情分析されるのはいかがかなと思います。確かに人間の容量を超える記憶が確実に集積されていますので、回路に支障がない限り、正確な情報を基盤に対応することはできます。しかし、やはりお客さまに接するサービスの現場では人間が対応すべきかと思いますが、人材確保という意味で次世代の若者たちのホテル志望動向はいかがですか。
 
 私のホテル業にかかわる専門ゼミ生は1 学年で15 ~ 20 人ですが、宿泊業に就職するのは多くても4 ~ 5 人です。ほかはサービス業や旅行関係などの観光に関わる業種を選択しています。3、4 年次は全員がゼミ履修をしなければならないため、必ずしもゼミ生全員がホテル業志望というわけではないこともあります。しかしながら、ゼミ研修の一環として3 年次に2 泊3 日の宿泊体験合宿を行ないます。単に宿泊体験をするのではなく、フルコースディナーでのテーブルマナー修得やベッドメイキング体験、ごみ処理場や浄化槽設備、ボイラー室などの見学も行ないます。ゴミ処理場やボイラー室では暑さや臭いなど実際に肌で感じることになります。一見すると派手な世界に見えがちなホテルですが、実は地味なものの積み重ねで形成されていることを知り、実際に就職したときに描いていたイメージとのギャップがないようにするために行なっています。卒論についても1 人について少なくとも20 回ほど面談を重ねて進めさせています。
 
▶卒論を20 回も書き換えさせるのですか。学生にとっては厳しいですね。
 
 これも社会人になってから役に立つであろうという思いからです。卒論はテーマに対して自分の意見で結論に導いていかなくてはなりません。参考文献の文章をそのまま引用していることもあります。確かにきれいにまとめられた文章ですが、その意味や課題や問題提起との関連性や文章そのものの意味を聞くと明解な答えが返ってきません。面談を重ねる事で学生の考え、志向に基づき充分な話し合いを通じ文章としての完成を目指すように導いています。商談や上司への報告の場面を想定した場合、自身が理解していなければ相手を説得させることはできません。“上司は分かってくれない”と嘆いたりする前に何度もやり直して自分で考えて文章を組み立てていくことが大切だと思うのです。文章力が向上することで、結果的に相手を説得させることができるのです。
 
▶本来大学は専門の学問を学ぶところですが、今ではあいさつに始まる基本的なマナーなど、社会人になるための学習も教授たちに求められています。とても残念なことですが、環境の変化の中で対応せざるを得ないですね。最後に日本の観光業やホテル業に求めることをお聞かせ下さい。
 
 観光業の視点では“日本は安全で楽しい国”であることを街ぐるみでアピールすることだと思います。他国と比較してこれほど昼夜問わず安全な国はありません。外食産業も豊富ですので、街に出て自由に、かつ安心して食べることができます。多くの観光客が街を行き来することで活気もあふれてきます。ホテルはその流れの中にあり、単体ではなく地域と共生しています。地域活性化に向けて地域とともにリピーター作りをすることが大切です。実際、訪日外国人観光客の20%がリピーターと言われています。何度も足を運んでいただくためには、冒頭に申し上げた通り、お客さまと感動、喜び、楽しさ、または悲しみなどの時間体験をどれだけ共有できるかです。そのようなホテルをいかに皆で作り上げていけるかが課題だと思います。実現のためにも、ホスピタリティ産業を代表しているのがホテル業であるという自覚とプライドを持ち、レジャー産業研究会はじめ、さまざまな研修会などに積極的に参画し、さまざまな情報収集と人脈構築をしていただきたいですね。
 
 

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