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第130回 Wプロフェッショナルズ 「求められる人材を探る」 第130 回  ㈱エックスラボ 藤 勝行 氏 × ㈱フェイス 福永 有利子 氏

要領が悪くても不器用でも真面目に、誠実に真摯に生きている人材であることが大切

【月刊HOTERES 2018年08月号】
2018年08月10日(金)
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福永 起業され、わずか6 年で年商10億円の実績を上げるとはすばらしいことですね。20 名のスタッフで、どのようにしてその実績を生み出されたのでしょうか。
 
 エックスラボを起業した1年前、実は24 歳のときに立ち上げた会社を倒産させてしまいました。2 億円近い借金を抱え、もちろん自己破産となりました。そのとき、これまでお世話になってきた方々に申し訳ないと思い、皆様の協力を得て新たな企業を立ち上げることになったのです。子どもも幼かったですのでとても辛い心境でしたが、このままではいけないと奮起したのです。以前の会社はホームページの制作やSEO 対策などを事業の柱としていました。Web がビジネスにおいて欠かせないツールになるほどに、ホームページ制作依頼など多数いただきました。気がついてみると契約先が500 社を超えていたのです。30 数名のスタッフで対応していましたが、1 社1 社に向けたきめ細かな対応をすることができなくなり、相次ぐ顧客のクレームや結果が出せない中で契約料の未払いなどが相次ぎ、結果的に倒産に陥ったのです。その教訓を得、契約者数を追いかけるのでなく広告予算を多く持つ中小企業や今後伸びるであろう顧客に絞り込み、1 社1 社、じっくり取り組む方針に切り替えたのです。
 
福永 薄利多売ではなく、少人数でもきちんと売り上げ、利益ともに残せる手法に変えられたということですね。
 
 と言っても広告代理店業ですから、お客さまの広告予算をすべて計上できるわけではありません。集客のためにヤフーやグーグルなどへ広告を打ち出し、商品やサービスに見合った媒体をセグメントし、商機を逃がさず広告を打ち出していきます。例え1000 万円の広告をグーグルに掲載したとしても、代理店業の粗利は手数料として約15%ほどなのです。
 
福永 代理店業とは、そのような仕組みになっているのですね。過去のご経験や、現在のスタッフ含め、藤社長の人材に関する考えをお聞かせください。
 
藤 インターネット広告は百貨店やホテルのように、人を介して提供するサービスによる対価はありません。しかしながら、そのスキームを作り上げているのはまさに“人”です。私が求めている人材は「真面目」「誠実」「真摯」な人間です。
 
 Web 構築やマーケティングの知識など多彩な才能を持って要領よく世の中を生きている人よりも、要領が悪くても不器用でも真面目に、誠実に生きている人材であることが大切なことだと思います。お客さまのご要望や声に対して真摯に受け止め、お互いに課題解決のために向きあえる人です。さまざまな問題解決のためにはさまざまな知識や技術の習得が欠かせません。現状、インターネット広告市場は成長産業であり、この先数年、成長し続けていくことが予測できます。しかし、未来永劫続くわけではありません。私自身がすべきことは次なる成長産業や事業を見出していくために先々のマーケットを読み、次なる一手に向けた指示を出していくことだと考えます。かと言ってトップダウンだけということではありません。現場がミスジャッジをしないようにするためにも、代表である私が方向性を決め、その後はスタッフからの意見や考え、アイデアなどボトムアップで循環させ、会社全体として良い流れを作り出し、皆で成長していくという循環型経営を目指していきたいと考えています。そのためにも、チャレンジや研修に対して投資し続け、人が育つ組織を作り上げていきたいと思っています。例え、ほかの世界や企業に転身、転職してもそれまで習得した知識を大いに生かして活躍してほしいですね。人が育つという意味においてはウエディング業界にも通じるものがあると思っています。
 
福永 ウエディング業界においては、専門学校や大学を卒業して直ぐに習得しなければならないことは、基本的な知識だけでなく、新郎新婦さまや親御さまとのコミュニケーション、さらにはチームワークが必要とされる現場では、サロン内はもちろんのこと、シェフや衣裳や美容、写真などかかわる部門とのコミュニケーションも図っていかなければなりません。さまざまな人とかかわっていくためにはどのようにしたら良いのか、お客さまが求めていることを実現するためにはどうしたら良いのかなど、一人では解決できないことをチームの協力のもと解決していくなかで、人として成長していきます。ウエディング業界を去っていった人たちが、他業種で活躍しているお話をよく耳にします。それだけウエディングの仕事は自身を成長させるものであり、接客やコミュニケーションにおける大切なことを学べる職業であると思います。
 
藤 今の世代は生まれたときからインターネットが日常生活に根付いているデジタルネイティブ世代が普通ですので、“インターネットで世の中を変えるんだ!”と声を上げても、“えっ、何言っているの?”という感覚です。日常化されたものを使って今さら何を言っているのだろう? と理解できないのです。昔で言えば“電卓や携帯電話を使って世の中を変えるんだ!”と言っているようなものなのです。それだけ今の世代の思考は異なりますが、何を作り上げるにしてもそこにはどうしても人が必要なのです。だからこそ、時代の大きなうねりの中で強い会社を構築していくためには、真面目に、真摯に、誠実な人であることが第一なのです。ときにはマネージャーを対象に課題図書を提示することもあります。社内研修も活発に実施しています。研修に対する費用対効果を考えているより、私自身が求めている人間像をどのようにして作り上げていくことが出来るかが大切なことだと思っています。これまでは中途採用を行なってきましたが、今後は新卒や外国人の採用も積極的に行なっていきます。外国人の採用は5 年後、10 年度の市場予測をする中で、世界を視野にした事業展開を進めていく上で欠かせないことだからです。現在、越境EC(イーコマース)にも着手しました。順調に数字を獲得しています。
 
 試行錯誤の中ですが、私たちの商品は「結果」であること、そしてそのために常日ごろから、素早く発見し、深く思考し、最善に解決するというPDCA の手順を徹底的に意識しながら日々、業務を取り組んでいきます。
 
福永 倒産から見事復活されたのは、社長の強い意志と応援してくれる人を裏切らない奥深い人情があったからこそであると思います。今後世界を舞台にますますご活躍されますことをお祈りいたします。本日はありがとうございました。

㈱フェイス 代表取締役
福永 有利子 氏
レストラン・ゲストハウスのウエディングプランナーから各現場の管理職としてマネジメントを担い、確実に業績を伸ばしてきた。2003年にウエディングプランナー養成スクール講師を始め、2006年から2015年まで大学にて非常勤講師として教壇に立つ。2006年堂島ホテル婚礼部長、2008年同ホテル副総支配人。2009年に㈱フェイスを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。現在は、全国のホテルやゲストハウスにて成約率向上を目的としたトレーニングや、集客戦略立案・実践支援などのコンサルティングに加え、会場のビジュアル改善や各種販促ツールの制作など、ウエディング事業の収益改善に向けた業務支援を幅広く行なっている。また、現役ウエディングプランナーの人材育成や専門学校生やウエディング業界への転職希望者などを対象としたスクールも開講。今後は、ウエディング業界を超えて、ホテル・ホスピタリティ業界にて、人材育成マネジメントを広く担っていく。2018年4月から神戸国際大学客員教授。著書 : 『ウエディングプランナーじゃない、アカンのは上司や! 悩める管理職のアメムチ19の育成術』

㈱エックスラボ 代表取締役
藤 勝行 氏
インターネット広告代理店・株式会社エックスラボ代表取締役。24 歳で設立した会社を29 歳で倒産させてしまう経験を持ち、中小企業を強くしたいという想いで30歳で再起する。売上げを上げるために、様座に測定や細かい運用を出来るインターネット広告に可能性を見出し、中小企業の集客支援やマーケティングシステムの構築支援に力を入れる。単体で6.3 億円、グループ売上で10 億円を超える企業に成長させる。世界的起業家組織EO の大阪チャプターの理事も務め、関西の起業家と共に学び成長する場の組成にも力を入れる。

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