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第二十三回 ㈱バルニバービ 佐藤 裕久 それでもなお一杯のカフェの力を信じますか? 

第二十三回  『絶望』と『勇気』のスタート

【月刊HOTERES 2018年07月号】
2018年07月06日(金)
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㈱バルニバービ
代表取締役社長 佐藤 裕久
Hirohisa Sato
Profile 京都市上京区生まれ。神戸市外国語大学英米語学科中退、アパレル会社で出店計画事業などに従事後、1991年有限会社バルニバービ総合研究所設立、代表取締役に就任。98 年㈱バルニバービに組織変更。現在、東京・大阪をはじめ全国に81 店舗(2018 年5 月末時点)のレストラン・カフェやスイーツショップを展開。著書に『一杯のカフェの力を信じますか?』(河出書房新社)、『日本一カフェで街を変える男』(グラフ社)がある

 
『絶望』と『勇気』のスタート
 
 関西出身の僕には東京以外の関東圏に土地勘はほぼありません。関東に出店という表現をよくしますが、結局東京のことです。関東エリア50 店舗中、3 店舗以外すべて東京です。その3店舗のうちの1 店舗が茨城県水戸市で商っている『ME-EAT』です。僕自身その物件にかかわるまで多分茨城県には訪れたことさえなかったのではないでしょうか?
 
 古くからの友人にグロービスの堀義人君がいます。20 代後半に出会った同級生です。彼の現在の活躍ぶりは別の機会に譲るとして、お互いほぼ同時期に創業し歩んで来た、大切な友人です。旧知の友人ゆえ、普段頻繁に会うことはないのですが、彼の主催する会にはたまに顔を出したりする。そんな中、彼からこんな声がかかりました。
 
『自分は水戸の出身だ。実家(生家)が他県に転居したこともあり、水戸に帰る機会があまりなく久々に訪れた故郷は寂れた一地方都市になっていた。このままではいけない! なんとかせねば…佐藤、協力してくれないか?』
 
 そんな内容でした。なんの根拠もなく『これは手伝おう』と瞬間に感じ、それから初めて水戸を訪問しました。水戸出身の彼のブレーンにご案内いただいての初水戸は刺激的であり、その街の持つ歴史の奥深さ・魅力に触れたと同時に地方都市という名のエリア中心都市(県庁所在地)の直面している現実に触れる機会でもありました。
 
『この街はこんなに魅力的だが…手強いぞ。北関東一の県の中心がもしも本当に再興不能であるのならばほかの市町村・自治体はどうなる? そして日本の地方のこれからはどうなるのだろう?…』複雑な思いを残し街を後にしました。今回声をかけてもらったプロジェクトを短期的経営判断だけならやめていたでしょう。でも僕の頭の中にはその選択肢はなかったんです。なぜならご案内いただいた本人はもちろん、水戸市長高橋さんをはじめ、ご紹介いただいた方々の街を思う心は半端ないもので、その情熱と実行力に触れ僕は感じました。このメンバーで、もしもこの街の復興がならないならもう日本の地方を意識するのは僕自身やめることになるのでは? 官(行政)と民間がこうまで一体になり進めそれでもなお衰退していくのならこれは一飲食屋の僕の出番などではないぞ…この国は東京のみの都市国家としてしか機能しなくなる…だからこそ今動
かねば…
 そんな『絶望』と『勇気』とのないまぜからのスタートでした。

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