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連載20(最終回) 【全文掲載】柴原陽子  人を育てるコーアクティブ・コーチング®

連載20(最終回) 完了

【月刊HOTERES 2018年06月号】
2018年05月30日(水)
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 さて、少し職場に意識を向けてみましょう。職場で上述した目的における「完了」と言えばどのような場面が浮かぶでしょう。教育プログラムや研修の修了、プロジェクトの終了、異動、退職、等々でしょうか。皆さんはそのときに「振り返り」をどれくらい重要視していますか。改めて時間を確保して「振り返る」という方もいれば、打ち上げして終了という方もいるのではないでしょうか。また、振り返りをしても、どちらかというと、何をやったのか、計画通りに進んだのか、結果は出せたのか、問題点は何だったのか等、「やった『事』」に対しての振り返りが主で、その人そのものに焦点をあてて振り返りをすることは少ないように思います。よく「やったことに意味がある」という言葉を耳にしますが、その視点を持つと同時にそれで終わりにせず、「どのような意味があったのか」まで掘り下げることでその人が次に向かうための栄養分に変化するのです。以前、「行動と学習」というテーマでお伝えした「コーチは常にクライアントの行動を促し、学びを深める存在である」ということを活用し、「終わる」ときは「やった事」の振り返りと共にその行動をした「その人」をねぎらいながら「学び」を深めるかかわりをしてみてください。「終わり」は人が成長を「自覚」する絶好の機会です。
 
「学び」を深める問い
 では、人に焦点をあてた「振り返り(完了)」をするにはどのような質問が有効なのでしょう。以下にいくつか挙げてみますので、現在進行中の活動があれば取り組みのスタートから現段階までについて、また、終わったものがあればその歩いた道のりをイメージして自分に問いかけてみてください。これらの質問からどのようなインパクトを受けるでしょうか。
 
あなたにとって最大の成功(大きくブレークスルーしたこと、乗り越えたこと)は何ですか。それはあなたに何をもたらしましたか。
 
・ あなたにとって最大の失敗(取りこぼしたもの、やり残したもの)は何ですか。それはあなたにどのような影響や学びをもたらしましたか。
 
・ あなたが手に入れたものは何ですか。
あなたが失ったものは何ですか。
 
 いかがでしょうか。もしかするとすぐには答えが浮かばないかもしれません。答えを見つけにいくその時間こそが最大の振り返りであり、「学び」を創出するプロセスです。「学び」とは「経験」したこと「すべて」を意味のあるものに変えられたときに最大になります。「成功体験」は魅力や持ち味、強みの発見につながり、本人に自信が芽生えます。かなり大きな決断や勇気ある行動を通して得た成功はなおさらでしょう。「失敗から学ぶ」ということもよく耳にしますが、なかなか一人では「失敗した(こと)」にとらわれ、「学び」に変換することが困難です。「精一杯やったから悔いはない」とう言葉で終えてしまわれる方も少なくはありません。そんなときに慰めや励ましだけでなく、経験を学びに変換するサポート(コーチ的存在、コーチ的かかわり)があれば失敗や成功という単純な区分けではなく、「すべてが豊かな経験」という視点で振り返ることが可能になり、すべてを豊かな学びとして自分自身に取り込むことができます。比喩的な表現をすると、歴史年表のように起こった出来事だけが記録されているのではなく、自分で創ってきた歴史(オリジナルストーリー)を大河ドラマのように本人がしっかり自分に記憶させる作業なのです。もし、今何か完了していないものを思い出したなら、改めて「完了」することをお勧めします。

 
完了
 
 さて、私もこの連載を「完了」するときがやってまいりました。初めてこのお話をいただいたときには、私に続けられるのか、文才のない私ごときが書き物で何か伝えるなんてことができるのか、という大きなサボタージュ(自己制限的思考:連載で何度かお伝えしました)が満載でした。普段から話す時の言葉選びは丁寧にしていたつもりですが、スタートしてみると文字の選択はかなり難しかったです。接続詞一つとってみても、使う言葉で全体の文脈が変わっていってしまうという「言葉の威力」を実感しました。また言いたいことを伝える語彙が自分の中に見つからず「語彙力」のなさを痛感しました。しかし、振り返ってみると1 年間という短い期間でしたが、このような機会をいただけたことは私にとって大きな財産となりました。次のステージへ向かいます。最後に、応援してくださった読者の皆様、編集をサポートしてくださった方々、この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。

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