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第十六回 ㈱バルニバービ 佐藤 裕久 『それでもなお一杯のカフェの力を信じますか?』

第十六回  第二部『バルニバービの開発する物件のケーススタディ』

【月刊HOTERES 2018年03月号】
2018年03月16日(金)
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カフェ&レストラン『GOOD MORNING CAFE 千駄ヶ谷』。千駄ヶ谷にカフェを作るのは当時チャレンジであった

 
『バルニバービが物件を買う理由』
 われわれは近年の飲食業においてはあまり前例を見ないくらいに店舗物件・店舗用地を購入しています。そしてそれには明確な理由があります。われわれが手掛けるまではいわゆる三等立地と呼ばれ、家賃も安い物件が、われわれがオリジナルなやり方で店舗を仕掛け、繁盛させることで周辺に人の流れができ、それにより他店舗の進出も促し、いつしか繁盛エリアとなって行きます(そうなるよう仕掛けて行きます)。その結果、相場家賃が上昇したり、挙げ句の果ては借地借家法により、一等地物件に変ぼうしたこの店舗なら多額の家賃を払ってでもいいという会社にたった紙切れ一枚で切り替えられてしまうということを何度も経験しました。千駄ヶ谷の初代『グッドモーニングカフェ』(この物件など驚いたことに同じ業態、営業時間、価格帯で3 カ月後に全く知らない店がオープンし結局2年もたずに閉店しました)、東京タワー前の『ガーブ』、赤レンガ倉庫『菫』、大阪南堀江の『エナルジア』・・・大好きなそして利益もしっかり出ていた店舗が継続できませんでした。契約内容通り6 カ月前に書類が送付されてきます。『定期建物賃貸借契約終了のお知らせ』・・・われわれの育てた店、そしてエリアを失います。自らの首を自らの込めた思いにより絞めることになるのです。物件オーナーとしては契約家賃が上昇するのですからマネーの話だけで言うなら当然こういうことになります。そしてわれわれも、ただ嘆いているだけでは話になりませんから当然対抗手段を身につけます。その一つが自らで物件を取得し、繁盛させエリア活性化させていくということです。結果物件価値つまり資産価値の上昇につながり、当然事業の継続性も担保されます。われわれが分かりやすいフレーズとして『バッドロケーション』ということを標榜している真相はここにあります。
 
 単に『家賃が安いので悪い場所で店をやるんです』という話ではありません。潜在しているが見過ごされているそのバッドなエリアもしくは物件の持つ可能性を見抜き、手掛け、育て、そこが持つ魅力を顕在化させて行き、いつしかグッドロケーションにして行く。そのプロセスは今のトレンド、はやりの業態開発という“ 近視眼的な見かた” では成立しません。一号店が23 年目、二号店(弊社所有物件)がこの春20 周年を迎えることがそれを証明してくれています。じっくり育てる、その物件もその地域も。
 

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