サービスを総合的に強化しより高級志向のブランドへ
 
❐ 合併の概要を教えてください。
 
アンドリュー　わたしどもワールドホテルズはドイツのフランクフルトを拠点に半世紀近くの実績があり、このたびの合併は久々に大きなニュースでした。姉妹企業となったアソシエイト・ラグジュアリー・ホテルズ・インターナショナル（ALHI）とは事業内容に共通点が多く相性が良いため、早くから相乗効果が期待できました。
 
　二社が手を組むことでネットワークが広がりポートフォリオが充実しました。ワールドホテルズには世界約50 カ国におよそ350 軒7 万5000 室のホテル・リゾートを擁しており、これにALHI の250 軒が加わり、総勢600 軒以上を抱えるコレクションになりました。
 
　営業、マーケティング、物流、人材と育成、サービス内容といったさまざまな分野でもグループとしての総合力が高まりました。二社ともに少数精鋭で構成される経営陣の互換性が高く、戦略も柔軟に打ち出すことができるため、グループにとってもメンバーホテルにとっても、より競争力を強化できる体制が整ったことになります。
 
　両社の共通点は、大手チェーンに属さない独立型のラグジュアリー分野を中心に実績があることです。違いは、ALHIが北米のMICE 事業に強い一方、ワールドホテルズはヨーロッパとアジア太平洋地域の個人旅行市場を得意とするところです。ALHI にとって合併はアメリカ以外のヨーロッパやアジア太平洋地域進出への大きな足掛かりとなり、ワールドホテルズにとってはアメリカを中心とする巨大なMICE 需要とメンバーホテルとをつなぐ強力な後ろ盾を得たことになります。
 
❐ 今後の方向性を教えてください。
 
アンドリュー　現在、技術面を含む各分野への積極投資が進められています。インフラも進化し、事業体制がオーバーホールそしてアップデートされることによりブランド認知度が向上しコレクションを紹介しやすくなりました。
 
　今後、二社間の互換性をさらに高め、メディア上におけるブランドの立ち位置をより明確にしていきます。また、これまで以上に高級志向で豪華かつエレガントなブランドとして磨きをかけ、新規市場開拓を目指します。より高いレベルでのホテルとサービスをご提供するブランド・コレクションとして認知度を高めるためにも、オンライン・オフラインともにPR を強化していく計画です。
 
❐ 世界のMICE 市場についてどう見ていますか。
 
アンドリュー　世界的に見てMICE 市場は依然として伸びしろがあります。そうした中、MICE 向けの優れた提携先を多数保有するALHI との連携により、MICE のニーズをメンバーホテルへと誘致しやすいことはワールドホテルズの大きな強みです。
 
コー　アジアには開拓すべきMICE 市場がまだまだたくさんあります。中国は今のところ国内需要に限られるものの、大きな市場が存在し、香港やシンガポールは非常に強く、オーストラリアも人気があります。タイのバンコクもかなり力を付けてきています。不安定な政情にもかかわらず人気が高いのは、アクセスが良くリーズナブルだからでしょう。マレーシアも保安上の不安があるものの伸びており、マニラも成長株です。インドネシアもかなり注目され、ジャカルタのみならず施設インフラの開発整備が盛んに進められて活気があり、かなり期待されます。
 
イェッゲ　成長を続けるアジア市場においてより良いパートナーシップを築くことは事業を発展させていく上で欠かせません。より強固なネットワークの形成を目指し、今後も積極的に優れたラグジュアリーホテルをメンバーに呼び入れながらポートフォリオを充実させていきたいですね。