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REPORT 

国内外問わず70%強が賛同する喫煙ルールの全国統一化

【月刊HOTERES 2017年09月号】
2017年09月22日(金)
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 2020 年東京オリンピックおよびパラリンピックに向け、国、自治体が海外からの観光客むけに取り組む事案に「喫煙に関するルールをどうするか」がある。“受動喫煙防止条例” に関しては本誌でも既報の厚生労働省案に加え、都民ファーストも都議会への条例案提出を表明している。また神奈川県、兵庫県など既に独自の条例を制定、もしくは京都市のように独自の観光ルールを設定している自治体もあり、現行日本を取り巻く喫煙ルールは種々雑多な状況にあると言っても過言ではない。そんな中、飲食店事業者、生活者および海外からの観光客が声をそろえて求めていることがある。“喫煙ルールの全国統一化” だ。本記事では本誌および㈱エイチ・アイ・エスの調査により浮かび上がってきた“現行の喫煙ルール” への声に加え、望ましいルールの在り方について考察していく。
 


【グラフ①】「国と自治体により喫煙規制が異なることへの飲食事業者の賛否」 国で定められた喫煙に関する法律と、自治体や地域で定められた喫煙に関する条例が異なることに対し、あなたはどのように思いますか。


【グラフ②】「国と自治体により喫煙規制が異なることへの生活者の賛否」 国で定められた喫煙に関する法律と、自治体や地域で定められた喫煙に関する条例が異なることに対し、あなたはどのように思いますか。

喫煙条例が異なることへの影響
 
 まず飲食店事業者および生活者からあがった「喫煙条例が国および自治体により異なることへの賛否」を見ていく。今回飲食店事業者については業種、規模、おのおのの店舗の喫煙ルール別にデータを集めた(グラフ①を参照)。そこで浮かびあがってきたことはいずれの集計からも「反対」の回答が80%と「賛成」を大きく上回り、現状の行政の働きかけに対する飲食店事業者の困惑が見てとれる。ジャンル別に見ていくと「カフェ・喫茶店」については100%が「反対」と、現行の厚生労働省案が発表されて以来多くの声があがっている「経営存続の危機」の不安と共に大きな懸案事項であることがうかがえる。また展開規模については「1~ 9 店舗」といった小規模展開から「100 店舗以上」の大規模展開の事業者まで総じて70 ~ 80%の「反対」姿勢を示しており、経営規模のいかんにかかわらず喫煙ルールの全国統一化が望まれていることが分かる。
 
 次に生活者の声(グラフ②を参照)だ。こちらは喫煙者・非喫煙者、性別、年代別に分け統計を取ったがいずれもルールが統一化されていないことには60%強が「反対」意見を支持しており、喫煙者・非喫煙者の意見に大きな差がなかったことが特筆される。男女比、年代比についても同様のことが言え、総じて喫煙ルールに関しては「分かりやすい」ことが求められていると考えてよいのではないだろうか︖
 
 そこで考察するのが「国と自治体」によって喫煙ルールが異なることによる影響である。まず飲食店事業者が懸念する影響についてはグラフ③を参照されたい。先述の調査同様にさまざまなジャンルに分け調査を行なったが、概して喫煙規制が異なることに対する困惑、混乱についての声が高い。特に展開規模が大きな事業者にとっては同じ店名、同じ屋号で展開する店舗が地域によりサービスを異なったものとしなければいけない点についての懸念、困惑が多い。利用者であるお客さまに対するサービス、ホスピタリティーの面からに加え、従業員のオペレーションについても頭を悩ませるところだという声を、本誌でもよく耳にする。また経営規模のいかんにかかわらず困惑の色合いが強いのが国と自治体、どちらのルールに従えばよいのか︖ という点だ。どちらにより執行力があるのか︖ 選択の優先順位はどうすればよいのか︖ そもそもその選択肢が事業者サイドにあるのか︖ 現状、われわれはそれらについて何も情報を与えられていない。また一部の事業者については「職業選択権」の観点からこれら条例の対象から除外の措置が取られようとしているが、これも国と自治体では規定が異なっている。その規定に関しても事業者たちは大きな困惑を抱えている。もちろん「望まない受動喫煙」を避けることについては本誌も各事業者も賛成の立場をとっている。しかし飲食店は公共施設と異なり利用者に多くの選択肢が与えられる環境であるゆえ、おのおのの権利が守られる統一ルール、事業者の自主規制を視野に入れた制定を今一度行政に考えてもらうべき事案だということをこの統計は訴えている。
 
 次に生活者への影響だ(グラフ④を参照)。こちらも賛否についてのアンケート同様にさまざまなジャンルから意見を募った。約75%の喫煙者が喫煙ルールが異なることによる困惑、混乱を訴えている点に加え、非喫煙者も約50%がそのように感じているという点に注目されたい。これは本法案の骨子でもある「望まない受動喫煙」を避けたい非喫煙者にとって、自らの喫煙に関する権利同様に非喫煙者の権利も尊重したいという喫煙者が増える中、現行の国および自治体により異なる「喫煙ルール」が有用なものではないということを示してるのではないだろうか︖
 


【グラフ③】「国と自治体により喫煙規制が異なることの飲食事業者への影響」 もし将来、国で定められた喫煙に関する法律と、自治体や地域で定められた喫煙に関する条例が異なると、どのような影響があると思いますか。


【グラフ④】「喫煙条例が異なることの生活者への影響」 もし将来、国に定められた喫煙に関する法律と、各自治体や地域で定められた喫煙に関する条例が異なると、公共の場で、どのような影響があると思いますか。

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