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第7回 湯浅 太  F&B部門の改善こそがホテル再生のカギ 独立系中小規模ホテル F&B部門再生手法

第7回 クロス分析の有効活用

【月刊HOTERES 2017年08月号】
2017年08月25日(金)
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 アンケートの最後に「このレストランにまた来ようと思う」「友達や家族にもぜひこのレストランを紹介、連れてきたいと思う」を加えることも有効なクロス分析につなげることが可能になります。この質問は「総体的な感想」を聞いています。「全体的にこのレストランを良いと思っている人はどこの点数が高いのか? どこが気に入ってきてくれているのか」が分かります。また、「また来たいとは思わない、人に紹介したくないと答えたお客様はどこのセグメントの評価が低くて、何が悪くてそう思ったのか」が明確になります。
 
 お客さまの意見や感想においても同様です。全体的な印象がいいと思うお客さまはどんなグッドコメントを書いているのか? また、全体的な印象が悪いと答えたお客様はどんな意見を持っているのかが分かるとただ単純にグッドコメント、バッドコメントに分けることよりもより有効な分析になるかと思います。プラス面、マイナス面のあらゆるクロス分析をできるだけ多く行なうことによってより自分のレストランのすべきところが可視化されてくるはずです。
 
本当の競合
 1 回目、2 回目でも競合分析について説明しましたが、本当の競合はホテルが思っているレストランは全く違う場合があります。「うちの競合はこのレストランだ」と思っていても、実際、顧客は全く別のレストランにも行ってるケースがある。ではどのようにアンケートに加えれば良いかご紹介します。「もし、よろしければ、あなたがランチでよく行くオススメのレストランを教えてください」「貴方が人に紹介するとしたらどのレストランに連れて行きたいと思いますか?」などの質問によって本当のお客さま目線での競合が見つけられるはずです。
 
アンケート実施のタイミング
 ではアンケート調査を実施するタイミングはいつがいいでしょうか? また、期間はどのくらい行なったらいいでしょうか? 冒頭にも書いたように一年中ずっとアンケートがテーブルに置かれた状態では本当に分析できるだけの数量を獲得することはできません。これは三つの目的によって違いますが、顧客満足度の推移を重点的に把握したければ毎月1 週間など一定期間で行なうことが有効的です。毎月行なうことで月ごとの推移を見ることができます。また、メニューの改善、サービスの改善、競合を知りたいなど集中的に行ないたいときは短期的に1 カ月間、徹底的にアンケート調査を行なうことでサンプルを多く獲得することをお勧めします。それによってタイムラグのない今現在の状況を把握することが可能になります。
 
 ただし、ただ単にアンケートを設置するのではなく、スタッフがサービス途中(最後のデザート、コーヒーなどの提供時)のタイミングでしっかりとお客さまに説明をした上で協力をお願いする方法や、会計時にアンケートを依頼するなどお客さまとしっかりとコミュニケーションを取りながら依頼することが大切です。
 
 アンケートに協力することでお客さまに何か粗品を提供することや、ドリンクをサービスするなど対価を提供すると、より回収率も上がります。本来、調査会社にこのような調査を依頼するとサンプル一人当たりいくらなどの高額な支出になってしまうことを考えれば自社で集める方が、よりお客さまとコミュニケーションを取れるメリットにもなります。
 
▪ Two Way
 アンケートは回収してデータ分析し、マーケティングのツールとして活用するのが一般的ですが、お客さまからいただいた貴重な意見に対してレストランとして「コミット」し、そのお客さまを得意顧客に引き上げるチャンスにもつながります。コメント欄に記入していただいたお客さまに今後どのようなアクションを行なっていくのかを文章にしてお送りすることです。「グッドコメント」であればその意見に対してお礼と今後のさらなる期待すべきアクションを手紙に書いて返信としてお送りし、「バッドコメント・要望」を書いていただいたお客さまには貴重な意見へのお礼とその改善をいつまでに行なうことを誓いの文章でお送りすることで“One Way”ではなく、“TwoWay”のアンケートになります。特にバッドコメントを書かれたお客さまは「その改善されたところを見に行ってやろう」と思わせることが再来店の意欲促進につながります。ただし、その再来店で満足させることが重要であることは皆さんもお分かりかと思いますが、万が一、前と変わらないという印象を与えてしまうと二度とリピーターにはなってくれません。「コミット」した以上は徹底的に改善を常に進めることです。
 
最強のアンケート
 2 回にわたってアンケートについて説明させていただきました。アンケートはホテルレストランのマーケティングには欠かせない情報源です。アンケートはあるものを使うのではなく、何が知りたいか、何を分析したいかによって自分で意図的に作り上げるものです。当然ながらレストランにとってハードも、商品も、ソフトもすべて重要ですが、しっかりとマーケティング活動を行ない、お客さまにど真ん中のストライクを投げることがリピーター率向上、レストランの成功への道を進みます。そういうホテルのレストランは必ず勝ちます。次回からはレストランの販促について解説します。
 

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